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だまし討ち

スポーツマンシップって、なんだろう?

どうやら東京五輪は、このままなし崩し的に突き進んでしまうようだ。

僕らはいま、人類が営々と築き上げてきた「言葉」や「論理」というものを、東京五輪大会と引き換えに手放しつつある。

政府は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後の大規模イベントの観客上限を5000人以下から1万人以下に緩和される見通しを示した。これに対して、分科会は、「オリンピックとは関係ない国内イベントについてですね」と何度も念押した上でこれを了承し、さらに「オリンピックはより厳しく」と付け加えたにもかかわらず、この提言を無視して、五輪の観客の上限も1万人とした。その際に、組織委員会の会長は「尾身会長の提言を受けて」と、その根拠を示したのである。

これではまったく、だまし討ちである。分科会から観客の上限1万人という言葉を引き出しておいて、一方で「この上限数は五輪には適用されない」という但し書きを無視して、あたかも尾身会長のお墨付きをもらったかのように平然と言ってのけたのである。

もともと尾身会長は、五輪の中止こそうたわなかったものの、やるとするならば無観客で実施すべきだと主張していた。その背景を考えれば、「尾身会長のお墨付きをもらって観客上限1万人とした」という発言は、あり得ないはずである。

だまし討ちはそれだけではない。

尾身会長をはじめ分科会の専門家有志が作成した提言書には、五輪を中止せよという文言は書かれていない。本来はそれも選択肢の一つだったのだが、首相がG7で世界の首脳に向けて五輪開催を表明してしまったために、提言書の中では中止の選択肢について言及できなかった、と述べている。

今度はそれを逆手にとり、「『中止』ということが尾身会長の提言には書いてなかった」ことを錦の御旗の如く、記者会見で大会組織委員長は、それを五輪開催の根拠として平然と主張したのである。

尾身会長からしたら、「話が違う…」と言いたくなるだろう。大会組織委員会の会長は、もともとオリンピックに出場経験のある元アスリートで、冬季五輪のスケートと、夏季五輪の自転車競技に出場している。

いったい、どこをどう読めば、こういう解釈ができるのだろう?こういう人とは、日常会話すら成り立たないのではないか、とさえ思えてくる。

伊集院光氏が、朝のラジオ番組で、「毎日毎日ニュースのコーナーで五輪開催に対する懸念を話しているけれども、さすがに僕も飽きてきて、リスナーにも『またかよ』と言われるかもしれないので、もうやめようかと思ったんだけれども、今回の組織委員会の会長の発言を聞いて、やっぱり言い続けなきゃダメだ、という思いを強くした。だって、『伊集院さんが何も言わなくなった、ってことは、開催に賛成してくれたんですね』と言われかねないし」

と言っていて、やはり一連の組織委員会会長の発言は、言葉を扱う職業の人からしたら、許しがたいものだったのである。

フェアプレー精神って、なんだろう?

東京五輪の観客についてもう少し言うと、「観客は上限1万人だけど、IOCとかスポンサーとかは関係者なので、それは観客とは別ね」という理屈で、ノーカウントされるということも明らかになった。つまり1万人にさらに上乗せされることになる。

これで思い出すのは、いとうあさこのライブである。

先日、草月ホールというところで、いとうあさこの単独ライブがおこなわれた。もっとも僕は観に行ったわけではなく、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」の中で話していた内容を聞いただけである。

観客数は、緊急事態宣言下だったこともあり、500くらいある座席のうち、半分にしなければならない。たとえば席数が500だったとすると、250が観客数の上限となる。

しかし、250席をきっちり観客分にするわけにはいかない。なぜなら、客席には劇場のスタッフもスタンバイすることがあるので、その分を差し引かなければならない。ということで、観客の数を半分よりさらに減らして、チケットを販売した、というのである。

たかだか500席のライブでも、関係者分の席を観客分の席に含めているのである。身を切るような思いで、観客の人数を制限しているのだ。だが東京五輪の場合は、観客と関係者は別だと平然と言ってのけている。おかしくないか?

つまり、この文章でいちばん言いたいことは、「これではいとうあさこの努力が報われないではないか」ということなのである。

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