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文学の目覚め

まったく、なんにも書くことがない。

手元にある文庫本を手にとると、なんとも懐かしい思いにとらわれる。

新潮文庫の三島由紀夫の小説のカバーである。

表紙には、縦書きで大きく、小説のタイトルがオレンジ色で記され、その横に、やはり縦書きで三島由紀夫の名前がグレーの文字で並んでいる。

僕の小学生の頃は、新潮文庫の三島由紀夫の小説といえば、オレンジ色のタイトルと、グレーの著者名が縦書きで並んでいるという、実にシンプルなものだった。

だがそれが、僕にとって最初の「文学の目覚め」であったような気がする。なんとも言えぬあの表紙に、背徳感あふれる数々のタイトルとも相まって、文学にふれる喜びをそこに見いだしたのである。

最初に読んだのはたしか『金閣寺』である。奥付を見ると昭和55年11月の55刷なので、僕が小6の終わりか中1のときに読んだらしい。小5か小6のときに、家族で初めて新幹線に乗って京都旅行をして、そのときに金閣寺を初めて見たから、たぶんそれに影響されてこの文庫本を買ったのだろう。

Photo_20210607235901 いつの頃からか、新潮文庫の三島由紀夫の小説の表紙は、すっかり変わってしまったようだ。7年ほど前に入手した『仮面の告白』では、三島由紀夫といえばあの表紙、という面影は、微塵もなくなってしまった。

僕はやはり、シンプルな表紙に魅力を感じる。もし僕が文学に目覚める年頃だったとして、いまのような表紙だったら、三島由紀夫の小説が自分にとっての「文学の目覚め」となったかどうか、わからない。

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