海辺の検査センター
6月30日(水)
まことにややこしい身体である。
先週の検査の結果では不明な部分があり、そのことを確かめるために別の検査をすることになった。
その検査は、あまり需要がないので、首都圏でも1箇所くらいしかその検査をしてくれるところがないという。
実は同じ検査は、2017年の年末にも、いちど受けたことがある。なのでその検査センターの場所は、すでに訪れたことがあった。
たしか海の近くにある、周りに何もないような場所にその建物は立っていた。
で、今日。
車で1時間半ほどかけて、その場所に到着した。前回は電車とバスを乗り継いでいったので、高速道路を降りてからの道は、なかなか新鮮であった。
新しく、といっても30年程前から開発された町であるせいか、2車線から3車線の幅の大きな道路が続いている。
高層マンションやビジネスビルなども立ち並び、開発当初は近未来的な都市をめざしていたのかもしれないが、いまでは少しゴーストタウン的な雰囲気も感じられる。それでいて、学校の数は多い。商店街やショッピングモールなどこに買い物に行っているのだろう?
建物に到着し、受付を済ませ、待合室で待っていると、ほどなくして診察室へ通された。落ち着いた感じの、老先生が座っている。
「3年半前もいちど来られましたよね。覚えていますか?」
「ええ、来たことは覚えています」
「そのときも私が検査の説明をしたんですよ」
だんだん思い出してきた。たしかにこの先生に説明を聞いたのだった。
「そのときの説明、覚えていますか?」
「いやあ、あまりおぼえていません」
「そうですか。じゃあ簡単に説明しましょう」
といって、先生は検査の概要の説明を始めた。話していくうちに、次第に3年半前のこの先生とのやりとりを、思い出してきた。とても特徴的な話し方だったのである。今風にいえば「クセがすごい」というべきか。落ち着いた話の中に、他の人とは違う個性、というようなものが感じられた。
ひととおり概要の説明が終わり、診察室を出て、検査室に向かう。
その道すがら、看護師さんが、
「あの先生、話の中にちょいちょいつまらない冗談をはさむでしょう?」
という。そうか。個性的な話し方の原因は、まじめな話の中に、同じトーンでちょいちょい冗談、というか余計な話を挟んでいたことにあったのか。
「ええ、そうですね」
「あの先生、いつもああなんですよ」
「そうですか。僕もお話を聴いているうちに、だんだん思い出してきました」
誰に対してもああいった感じでお話しになるのだな、ということがわかった。決して不愉快になる話し方ではないのだが、たまにしか聞かないから気にならないのであって、それを毎回聴かされている看護師さんは、大変だろう。
検査は午前中いっぱいかかって終わった。
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