言葉の大安売り
以前の武田砂鉄氏のtweetに、
「首相会見。「(五輪は)心のバリアフリー」大切に使われてきた言葉を、安っぽく言い訳に使って、いくつも壊していく。」(2021年7月8日)
というものがあった。
この10年で、最も大安売りされた言葉は、「絆」ではないだろうか。「絆」はこの10年で急速に陳腐化し、ちょっと自分で使うのも憚られる。
ほかに「友情」とか「おもてなし」、「安全安心」なんてのも、ほとんど叩き売りに近い状態にある。「安全安心」なんて、もはや意味を持たない呪文みたいになってるもんね。
「緊急事態」というのももはや、「日常生活」と同義になりつつある。
「ネットワーク」「コミュニケーション」というのも、「絆」と同じような意味で、便利に使われる言葉になりつつある。
オリンピックの開会式ではやたらと「多様性と共生」が強調されていたが、これもかなり安っぽく使われてしまっている。だが実際はどうなのだろう。
とにかくあらゆる言葉が短期間で陳腐化するので、それに変わる新しい言葉を探さなければ、インパクトがない。
そこで、「共創」とか、「ステークホルダー」とか、よくわからない言葉が跋扈することになる。やがてそれらも陳腐化するのだろうな。
便利な言葉であればあるほど、気をつけなければならない。
清水義範や筒井康隆あたりが、これらを使ったパロディー小説を書いてくれないだろうか。
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コメント
東日本大震災関連のフォーラムか何かで、シンガーソングライターのmiwaさんが宮城の学生たちと曲を作る話になった。
miwaさんは丁寧に学生たちの話を聞いていくと
「可哀想っていう言葉をかけてほしくない」「絆という言葉はあんまり使ってほしくない」
という意見が出たそうです。
結局は外野が安全な場所で大変な人たちを見ながら美麗な語句を考えているのだろうな。
当時の子供たちにさえそれは微妙に伝わっていたのかと思うと、胸が苦しい。
さて、miwaさんはどんな曲を作ったか
タイトルは「希望の環(WA)」
表現を変えて皆繋がっているんだよと伝えた素晴らしい方だと私は思います。
投稿: 江戸川 | 2021年7月29日 (木) 00時31分