謎の訂正
8月25日(水)
午後9時、緊急事態宣言の対象地域拡大にともなう首相会見。
毎回、首相会見を聞くたびに腹が立つのだが、ここ数回は、会見と同時にYouTubeで配信される、TBSラジオ「Session実況ライブ」で、荻上チキ、澤田大樹記者、南部広美さんが首相会見への副音声的な解説をやっていて、これを聴きながら首相会見を聴いていると、なかなかおもしろくて、つらい会見も最後まで聴き通すことができる。
今日の会見では、こんなやりとりがあった。TBSテレビの後藤記者の質問である。
「首相自らがテレワークを進める、あるいは、閣内のかなりの部分でテレワークを試みる、そういったお考えはありますか」
「まずテレワーク、これ推進してやらなければならないと思ってます。その中で、今日、新たに、(緊急事態)宣言地域とまん延防止地域を決めた会合については、テレワーク(笑)でやらせていただきました。まあそういう意味で、昨日も私、テレワークで規制改革会議、やってますから、そうしたことをこれからどんどんと増やしていかなければならないというふうに思ってます。」
このとき、首相は、半笑いで答えていた。これは、記者に対して、「お前、知らなかったの?ここ最近、俺がテレワークをやっているのを見ていなかったのか?」という笑いに聞こえた。
しかし僕は、ここ最近、ニュースを見るたびに、政府や与党の会議が、ほぼすべて、対面とオンラインを併用するいわゆる「ハイブリッド会議」であることに気づいていた。
たとえば、首相や主要閣僚は会議室に集まり、それ以外の人たちがオンラインで参加する、という形式がほとんどなのである。
そればかりではない。与党の青年局の会議の様子を数日前に見たのだが、それもまた同様であった。
つまり政治の世界では、ハイブリッド会議が主流で、テレワークはまったくおこなわれていないのだ。それを首相は、「みんな知らないと思うけど、俺なんかとっくにテレワークをしているぜ」と言っているのである。
ここである疑念がわいてきた。首相は、テレワークをハイブリッド会議と勘違いしているのではないか?つまり、テレワークの意味をまったく理解していないのではないだろうか?
しばらく会見を聴き続けていると、唐突に、首相が先ほどの質問に対する訂正を言い始めた。
「すみません。先ほどのTBSの後藤さんの質問で、テレワークとオンライン会議、こうしたことについて、混同してしまいました。お詫び申し上げたいと思います」
「それでは続いての質問…」
ええええぇぇぇっ!!??
やはり首相は、テレワークとオンライン会議(正確にはハイブリッド会議)の違いについて、まったく理解していなかったのだ、ちなみにこのとき会見に参加していた江川紹子さんが、会見直後にSession実況ライブに電話出演されて、訂正の紙が事務方から慌てて首相のもとにもたらされたと話していた。ということは、事務方に指摘されるまで、この違いについてまったく理解していなかったことになる。
そうなると、先週、経済三団体の長のところに首相が直接出向いていって、対面してテレワークについてお願いにまわったという、一見して本末転倒の行動の意味が理解できる。
やはりテレワークの意味を、首相はまるで理解していなかったのだ。
これでは、テレワークが進むはずがない。
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