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ヘビーリスナーとは、口が裂けても言えない

8月16日(月)

放送の翌日、番組製作を担当したディレクターから電話があった。

「昨日、放送が無事に終わりました。ありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました」

「ご覧いただけましたか?」

「ええ、リアルタイムで最初から最後まで観ました」

「それはありがとうございます」

「放送のあと、番組を観たという何人かの友人からメッセージをもらい、『よい番組だった』という感想を口々に言ってました」

「そうでしたか。それは励みになります」

そんな会話が5分ほど続いたが、「番組のDVDを送りたいので、送付先を教えてほしい」というのが、どうやらこの電話の用件のようだった。

僕のような人間にも電話をかけてくるくらいだから、あの番組で取材をしたすべての人に、同じような電話をかけて、感謝の言葉を述べたのだろう。その誠実さが、番組の作りにあらわれていると、僕は感じた。

用件がすんだあと、今度は僕の方からディレクターに言った。

「あのう…ナレーションをしてくれたアナウンサーの方がとてもよかったです」

「そうですか。ひょっとして、お知り合いか何かですか?」

「いえいえ、違います。私はそのアナウンサーのナレーションや朗読のファンなのです。むかしからナレーションには定評があるでしょう?」

「それはまた、通ですね。その通りです」

「いわば、ナレーションに関しては、局のエース級ですよね」

「そうです。実はそのこともあって、ぜひナレーションをと、その方にお願いしたんです」

「そうでしたか」

それだけでも、番組作りに対するこだわりがうかがえる。

「それはまた、通ですね」と言われたときに、「ヘビーリスナーですから」とはさすがに言えなかった。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

地方のふきだまらーのみなさんに朗報。

「極限状態の番組を、テレビ局はユーチューブに残した 現代技術で蘇る鬼瓦の記憶」

ナレーションのアナウンサー名のテロップがないけど、こちらもヘビーリスナーだから決め打ちして、みっか。

投稿: 🐢🏝️📓 | 2021年8月17日 (火) 13時32分

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