スーツアクターに個性あり
高校時代の1年後輩のSNSを見たら、いまNHK-BSPで放送中の「ウルトラセブン」の「ウルトラ警備隊、西へ」の回の感想を書いていた。いわゆるキング・ジョーが登場する回である。
「さて、セブンのスーツアクターといえば上西弘次氏なのだがこの回は菊池英一とある。帰ってきたウルトラマンのアクターだ。そう思って観ていると立ち方、立ち合いの雰囲気が新マンっぽいのが興味深い」
キング・ジョーの回のセブンの立ち合いの雰囲気が新マンっぽい、というのは、どういうことなのだろうと思っていたら、それからほどなくして彼のSNSで画像入りで補足の説明をしていた。
「上西セブンと菊池セブン そして帰ってきたウルトラマン(菊池)。セブンは基本両手グー。一方新マンは片手手刀、もう片手がグーという構えが多い。こういうのは子供の頃のごっこ遊びを通じて自然と培われた観察眼なんだと思う。当時ビデオもないのに」
なるほど、画像を見ると、キング・ジョーの回、つまり菊池セブンは、セブンが片手が手刀で片手がグーという構えをしている。しかし、上西セブンは両手がグーである。そして新マンは、片手が手刀で、もう片手がグーだった。もうそのことを知って以来、セブンの立ち合いを見るたびに、「両手がグー」になっているかどうかが気になって仕方がない。
僕は子どもの頃、そこまでは気づかなかったが、その後輩は身体的な感覚として覚えていたというのだからたいしたものである。
(ちなみに「ウルトラ警備隊、西へ」は、岡本喜八監督の「独立愚連隊、西へ」のタイトルを捩ったものであるというのは、常識なのだろうか。)
そういえば、ウルトラマンのスーツアクターだった古谷敏さんが、ウルトラセブンではアマギ隊員の役を演じていたが、少し腰を落として銃を構える仕草が、ウルトラマンがスペシウム光線を打つ姿勢を彷彿とさせたことは記憶している。
…と、これを書いていて思い出したが、毒蝮三太夫さんのYouTubeチャンネルで、古谷敏さんをゲストに迎えて対談していたとき、マムシさんが
「俺一人が、ウルトラマンから続けてウルトラセブンに出演した。いわゆるスピンオフというやつね」
と言っていた。「スピンオフ」というと、「既存の作品(本編)からそれに関連する別の作品が派生することを指す。そうして制作された作品を派生作品もしくはスピンオフ作品と呼ぶ。日本ではテレビドラマや映画、漫画などの派生作品によく使われる」(Wikipediaより)というイメージがあるのだが、マムシさんは、ちょっと違う意味で使っていたようだった。前のシリーズから、次のシリーズに移るときに、前のシリーズのレギュラーを一人残して次のシリーズのレギュラーを続けさせることを、スピンオフと言っているらしい。当時、アメリカのテレビやなんかでよく使われるやり方だった、というのだが、「スピンオフ」の意味が変容したのか、どうもよくわからないので、ここに書きとめておく。
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コメント
独立愚連隊の話と、キングジョーの名前が放送当時は決まってなくて、後から脚本の金城哲夫の名前を捩ったという話は常識です(笑)
セブンのスーツアクターが異なるのは「ウルトラ警備隊西へ」のみ。
放送に間に合わなくて複数回同時並行撮影になってしまったからだったはずです。
「ウルトラ警備隊西へ」は大型ロケなので、何でセブンが代役なのか疑問ですが、それが戦闘シーンのバリエーション豊かな表現に繋がるんですから嬉しい誤算。
設定上セブンは40メートルでキングジョーは55メートルなのに、菊池氏起用によりセブンの方が大きくなってしまった(そもそもキングジョーの着ぐるみ小さい気がしますが)
それを上手くごまかすために遠近法や取っ組み合いのアップのカットを多くしたりと昭和特撮の技法のお祭り状態。
撮影法に特化して鑑賞するのもおすすめです。
よくよく考えるとセブンは何時間変身してるんだよと突っ込みたくなりますが・・・。
投稿: 江戸川 | 2021年10月11日 (月) 20時43分
やっぱり常識だったのね(笑)
投稿: onigawaragonzou | 2021年10月11日 (月) 21時50分