ひどい会合
10月16日(土)
午前10時から、オンラインによる国際会合。憂鬱である。
憂鬱な理由は、僕が日本チームの班長みたいな役回りをやらされており、つまりあまりにも身の丈に合わないことをすることになったからである。
例によって、事前にはほとんど何も聞かされていない。一つ言われたのが、「当日は10分ほど日本チームの班長として発表をして下さい。ついては、そのためのレジュメを2日前までに作成して送って下さい」と言われた。
僕は言われるがままに、そのミッションを実行し、やっとの思いでA4版で3枚程度のWordファイル原稿を作成し、先方に送った。
そして当日。
その国際会合の主会場は、某国の某大学の会議室のようである。一番手前に、そのプロジェクトの総括リーダーの人が座っており、その周りに何人もの人が座っている。いかにもこれから会議をします、という雰囲気である。
オンライン参加組は、某国内でも会場から遠いところに住んでいる人や、僕のように海外に住んでいる人間、6~7名くらいだろうか。ほとんどが某国人である。
会議が始まったようだ。主催者がまくし立てるように何かを喋っている。しかし僕はその国の言葉がわからないので、何を喋っているのかわからない。といって、通訳をしてくれそうな気配もない。
僕は業を煮やして、今回の会合の橋渡しをしてくれている、日本語のわかる方に、Zoomのチャットで、
「通訳はないんですか?」
とたずねた。するとほどなくして、
「すみません。通訳できません」
という答えが返ってきた。
おいおい、プロジェクトについて意見交換をするんじゃなかったのかよ!言葉がわからなければ、こちらとしても何も言うことができない。
そのうち、各班の発表タイムとなった。1斑あたり10分程度で、僕は3番目である。
僕は一人目の某国の人の発表を画面で見て愕然とした。
パワポで画面共有しながら喋っている!!!
僕は読み原稿を用意しただけで、パワポを作ることをすっかり失念していたのである。
というか、言ってくれよ!!!こっちは、どんな会合なのか、まったくイメージがつかめていなかったのだ!!
通訳だっておぼつかないのだ(というか通訳されない可能性が高い)。丸腰で日本語を喋っても、画面の向こうにいるおっさんたちには、何が何だかわからないのではないだろか?
僕は急いでパワポを作成することにした。もちろん日本語で作成するより仕方がなかったが、それだけでは味気ないと思い、文脈にふさわしい図版を急いで見つけ出して、なんとか直前に完成した。
僕の発表の出番になり、僕が日本語で喋りはじめると、最初は通訳してもらったのだが、そのうち時間が押して、「ここから先は通訳しないので、そのまま日本語で喋って終わらせて下さい」と言われた。何なんだ???
僕の出番が終わると、とたんに僕のわからない言語での発表が再開する。うーむ。何を言っているのか、サッパリわからない。
発表のあとは意見交換である。主会場となっている会議室で、何やらケンケンガクガクと話しているようなのだが、まったくわからない。
チャットで「いま、何を話し合っているのですか?」と聞くと、ようやくチャットを介して、話し合いの内容を端的にまとめた日本語が送られてきた。
それを見てまた愕然とした。え?そんなざっくりとしたことを話しているの?とか、いまさらそれを言うの?とか、そんな感じの内容である。
これは通訳者の表現の問題ではないだろう。おそらく実際に話していることがそういう内容であるに違いないのである。
僕も、何か意見を求められるかなあと思って身構えて待っていたのだが、おそらくまったく気にもとめられていない様子である。
(俺はいないことになっているのか?)
そのうち、主会場にいるプロジェクトのリーダーを含めた数名が部屋を出ていってしまった。残されたおっさんたち数人で、何か話をしている。
(え?いまこれは会議の最中なの?それとも雑談なの?)
まったく説明もないまま、僕はひたすらその無意味な画面を見つめていたのだった。
(この状況がいつまで続くんだろう?)
チャットで聞いてみたが、何の反応もない。おそらく、日本語のわかる方も、プロジェクトリーダーと一緒に部屋を一次退室しているのかもしれない。
それからしばらくして、プロジェクトリーダーほか数名が会議室に戻ってきた。
何かを喋って、一同が拍手をした。
どうやら会議が終わったようだ。
いったい俺は、何のためにここにいたのだろう。
おそらくいままで経験した会合の中で、最低な会合である。これほど時間の無駄と思った会合はない。しかしそんなことを言ったら国際問題になるので、口が裂けても言えない。
最後の最後に、チャットで、「後ほど会議での話し合われた内容についてお知らせします」と言われたが、どんなことが話し合われていたのか、楽しみである。
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