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末は博士か総理大臣か

10月23日(土)

今日は朝から、もうすぐ3歳7か月になる娘を実家に連れていき、公園を3カ所ハシゴして、ひどく疲れてしまった。

午前中に行ったところは、実家から車で5分ほどの交通遊園である。交通遊園というのは、ゴーカートや電動カートに乗ることができたり、機関車や電車やバスが野外展示されていたりするなど、子どもが遊びながら交通にふれることのできる公園である。

僕が小さい頃、父に連れられて、ほとんど毎週のように通っていたが、それも小学校低学年くらいまでである。ということは、40数年ぶりに、今度は僕が娘を連れて行くことになったのである。半世紀近くの時間を経ても、交通遊園は当時の面影をほとんどそのままとどめていたことに驚いた。

午前10時から遊びはじめて、1時間ほど経った頃、街頭演説のような声が聞こえた。そういえばいまは、衆議院選挙の選挙運動期間中なのだ。

みんなが公園で穏やかに遊んでいるのに、ちょっと無粋だなあと思いつつ、声のしている方向を見ると、元首相の一団が歩いている。よーく目をこらして見ると、歩きながら演説をしているのは、肩から自分の名前のたすきを掛けた、元首相本人である。誰かの応援ではなく、元首相本人が、候補者として選挙区周りをしていたのである。

公園には子ども連れの家族が多かったにもかかわらず、関心を寄せる人はほとんどいなかったが、ミーハーな僕は、娘と一緒にその一団に近づいていって、元首相の姿を、スマホのカメラに収めようとした。

すると、秘書らしき人が近づいてきて、

「よかったら(候補者)本人と一緒に写真を撮りませんか?}

という。

「え?いいんですか?」

「どうぞどうぞ」

そう言うと秘書は、演説をしながら歩いていた元首相を呼び止めて、「写真をお願いします」と言った。

元首相は振り向き、僕と娘のところまで戻ってきた。

秘書らしき人が、「スマホで撮って差し上げますよ」と言ったので、僕のスマホを秘書の人に渡し、秘書の人はスマホをこちらに向けた。すると元首相が、

「ええっと、どんなふうに撮ったらいいかな…。お子さんを抱っこしてもいいですか?」

突然の元首相の提案に、僕はビックリした。

「抱っこしてくれるんですか?お願いします!」

元首相は、僕の娘を抱き上げると、ぼそっとつぶやいた。

「…重いなあ…」

見た目よりも重いことに、元首相は驚いていた。

「では撮りま~す」

何度かシャッターが押され、元首相が娘を降ろしたとき、

「本当に重いなあ…」

とくり返したので、僕は思わず笑ってしまった。

「15キロくらいありますから」

「そうでしょう」

で、最後に、僕は元首相と、握手ではなくこぶしを合わせ、「応援していますので、がんばってください」「ありがとうございます」と言葉を交わした。

後でスマホを見ると、僕の隣で元首相が、満面の笑みをたたえた僕の娘を抱っこしている姿が、実にほのぼのとした感じで写っていた。しかしコロナ禍の影響で、マスクをしたまま写っていることが、少し残念だった。

(娘が元首相に抱っこされるなんて、こいつは将来首相になるくらい出世することを暗示しているのかもしれない)

と思うのは、親馬鹿ならば誰でも抱く感慨である。

さて、お昼になり、いったん実家に戻って昼食を済ませた後、今度は別の公園に娘を連れて行くと、その道すがらに、元首相のポスターが貼ってあるのを見つけた。

「この人、わかる?」

と娘に聞いたら、

「あ、この人、さっき抱っこしてくれた人!」

と答えた。不思議なのは、さきほどは元首相はマスクをしていたので顔がわからないはずなのにもかかわらず、娘は、ポスターの顔写真を見て、それがさきほどの本人であると同定したのである。僕はビックリした。

「どうしてわかったの?」

「おでこのホクロ」

なるほど、おでこのホクロを、娘は見逃さなかったのか。それにしても恐るべき観察力と記憶力である。

ここまで来れば、袖すり合うも多生の縁。「応援しています」と言った手前、今度の選挙は元首相に投票しなければならない、と思ったのだが…。

残念!僕は隣の選挙区の住民なのであった。

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