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久しぶりに旅の空

10月26日(火)

午前中のオンライン会議の後、午後に家を出て、出張に向かう。久しぶりの新幹線である。

東京駅はそれなりに人が多く、新幹線も想像以上に席が埋まっていた。新型コロナウィルスの感染が落ち着いたので、このままかつての日常を取り戻す方向に進むのだろうか。この1年半ですっかり出不精になってしまった身としては、複雑な心境である。

使っている手帳は、見開きで各月の予定を書き込むことができるのだが、10月の欄を見返してみると、真っ黒なくらいに、予定が書かれていることに、あらためて驚く。

先日の日曜日は、午前10時から17時まで、うちの職場がホスト役になり大規模なオンラインイベントが行われた。僕自身はこのイベントにまったく関係していないのだが、いちおう中間管理職なので、一人でも多く参加人数を増やさなければいけないとのことで、参加登録をした。

ところが、まじめに聞いている暇がない。ずーっと先送りに先送りを重ねていた、僕が代表のイベントについて、先週金曜日に職場から「オマエ、早く動き出さないと、いい加減、間に合わねーぞ!」とひどく脅され、「わかりました。月曜日までに原案を作ります」と約束してしまったのである。

ところが土曜日は、前回書いたように、娘と一日遊んでいたので何もできなかった。残されたのは日曜日の1日だけである。

なので、職場がホスト役の大規模イベントは、いちおうウェビナーで参加したけれども、作業用BGMていどに聞き流しながら(時には映像だけ流して音声を切りながら)、必死に打合せ資料を作るために格闘していたわけである。

結局、オンライン大規模イベントは、最初と最後の挨拶しかまじめに聴かず、どうやら滞りなく終わったということを確認しただけだった。

翌月曜日。僕が代表となってしまったイベントについての打合せは、何とか乗り越えた。といっても、何一つ問題は解決はしていないのだが。

で、今日(火曜日)の午前中はオンラインの会議、それが終わってすぐに家を出て、新幹線に乗ったと、こういうわけである。

こんなドタバタが、どうやら年内ずっと続くらしい。すでに手帳の11月と12月の欄も真っ黒になりつつある。しかも感染状況が落ち着いたので、出張も増えそうな勢いである。

職場のオンラインシステムには、各人が手帳代わりに予定を書き込むことのできるスケジュール表があって、職場の人間ならば誰でも見ることができる。職員たちは、それを見ながら、今日はあの人は何時から何時まで会議があるのか、とか、今日はこの人は出張なのか、と確認することができるしくみである。

僕は以前は、なんか管理されているようでイヤだったので、オンラインのスケジュール帳に何も書き込まなかった。実際、同僚たちのほとんどは何も書き込んでおらず、書き込んでいるのは管理職だけである。管理職は、「いつだったらその人を職場でつかまえることができるか?」ということが職員たちにとっての関心事なので、職員たちのためにも書き込まざるを得ないのである。

で、僕も昨年から中間管理職になったので仕方なく書き込むことにしたのだが、最近は、それが快感になって、いまや誰よりも細かく、自分の予定を書き込んでいる。仕事だけではなく、この日は何時から何時まで病院で診察を受ける、とか、週末の同業者寄合が何時から何時まである、とか、そんなことまでいちいち書き込むことにした。見たところ誰よりもびっちりと予定が書き込まれたスケジュール帳になった。

僕が宗旨替えをして、職場のオンラインスケジュール帳に書き込むことにした理由は、ただ一つしかない。それは自分の忙しさを職場にアピールするためである。職場のいろいろな人に、同情を買ってほしいという、ただそれだけの理由である。

書き込むとそれなりに反応があり、先日もある職員から「いつも見ています」と言われた。たんに会議の予定とか、出張の場所とか、外部委員会の予定とか、項目と時間だけを書いた無味乾燥な記述なのだが、それだけでも、目を離すことのできない、なにがしかの想像がかき立てられるのだろうか。あるいは僕がたんに「空欄恐怖症」なだけかも知れない。

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