「のほほんふたり暮らし」は、哲学だ!
NHKのドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』を欠かさず見ている。姉のエリコさんを演じる木村多江さんの憑依型演技と、妹のミホさんを演じる安藤玉恵さんのデフォルメ型演技が、いい感じにバランスがとれていて、「虚実皮膜」感を醸し出している。
3歳8ヵ月になる娘も、熱心に観ている。いつの間にか、「ミホさん」と「おねえさん」の区別がつくようになった。「エリコさん」のことを「おねえさん」というのは、ドラマの中で、「ミホさん」がそう呼んでいるからである。
いつの間にか娘の中では、木村多江さんと安藤玉恵さんのコンビが、本物の阿佐ヶ谷姉妹になってしまったようである。TBSテレビの「人生最高レストラン」でゲスト出演していた「本物の」阿佐ヶ谷姉妹を観た娘は、
「ちが~う」
と言っていた。
しかし不思議なもので、だんだんと認識していくものらしい。動画サイトで「本物の」阿佐ヶ谷姉妹の漫才ネタを見せると、端末の画面に向かって、「ミホさ~ん、おねえさ~ん」と呼びかけていた。名前を呼ぶ順番が「ミホさん」の方が先なのは、ドラマの中で、エリコさんが最初に「ミホさん」と呼び、それに対してミホさんが「おねえさん」と呼びかけるケースが多く、たぶんそれを聞き慣れていたからであろう。
しかも、ドラマの中のエリコさんも、「本物の」エリコさんも、よく泣くのだが、娘の中で「おねえさん」は、「よく泣く人」と認識するようになった。「この人(エリコさん)は、よく泣く人」「この人(ミホさん)は、泣かない人」と。
さらにすごいと思ったのは、エリコさんの涙が、決まって「うれし涙」であることに、娘が気づいたことである。
「おねえさんの涙は、うれし涙。だから、泣いてもいいんだよ」
娘の言葉には、ほんとうに悲しいときは泣かないんだよ、という深い意味が込められているようで、哲学的である。
第1話の再放送を一緒に観ていたときなどは、
「ミホさんは、ひとりっ子は楽だと言ってたけど、ひとりっ子は楽じゃないよね。パパもママも、楽じゃないでしょ?」
という「ひとりっ子」の娘の言葉に、思わず爆笑してしまった。
「そうだね。楽じゃないよね」
この洞察力を、大切にしたい。
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