ラジオコントの復権
12月10日(金)
本日も、「アシタノカレッジ金曜日」のアフタートークまで無事にたどり着いた。アフタートークを聴いたあとにこのブログを書くのが、1週間で至福の時間である。
昨日は都内某所で、6時間ノンストップの打合せがあった。約1年後に開催する、僕が代表をつとめるイベントについての打合せである。失敗して恥をかきたくないから、いまからいろいろと勉強しなくてはならない。
今日は僕がホスト役の責任の重い会議。揉めたらどうしようと気に病んでいたが、とくに揉めることなく原案で承認された。
「これでようやく年が越せますね」
と、この間、一緒にがんばってきた職員が言ってくれたが、まだまだ!僕にとっては明後日の日曜日から24日までの2週間が、本当の正念場なのだ。それについてはまたおいおいと書く。
ここ数日、ラジオコントについて考えている。
中学生の頃YMOのファンだった僕は、スネークマンショーの存在を知り、「音声だけのコント」に魅了された。それが「音声コント」との初めての出会いである。次に出会ったのは、SET(スーパー・エキセントリック・シアター)。「高橋幸宏のオールナイトニッポン」の中で「SET劇場」というコーナーがあり、三宅裕司率いる劇団によるラジオコントが毎週の楽しみだった。やがてSETはYMOの最後のアルバム『サーヴィス』で、曲と曲の間のコントを担当した。かつてスネークマンショーがYMOのアルバム『増殖』で、曲間に音声コントを演じていたごとくである。SETはその後、単独でギャグ主体にしたアルバム『ニッポノミクス』を発売したが、これが伝説の名盤だった。長らく廃盤だったが、最近、復刻されたらしい。
スネークマンショーはどちらかといえば毒味のあるシュールな音声コントという印象だったが、SETは、もっと大衆にわかりやすい音声コントをめざしていたように思う。いずれも、音質のクオリティーが高く、音声だけで笑わせることをとことん追求したコントユニットだった。
その後、ラジオコントとか音声コントに、トンと縁がなくなった。つまり僕は、10代以降、30年以上もラジオでコントを聴く機会がなかったのである。
ところがあるとき、僕がシティーボーイズのファンであることを知っている後輩から、「東京03ときたろうさんがコラボしたコントがとても面白いかったから、絶対に聴いてみて下さい」というメッセージが届いた。僕はぜんぜん知らなかったのだが、東京03というトリオのコント師が、NHKのラジオ番組「東京03の好きにさせるかッ」の中で、いろいろな人とユニットを組んでラジオコントをしているらしい。
僕は当然聞き逃していたので、そのとき初めて「らじる★らじる」という、民放でいうところの「radiko」のような聞き逃し配信アプリをインストールをして聴いてみたのだった。
そしたら、このコントが面白かったのだ。僕はこれを聴いているうちに、シティーボーイズの「夏への無意識」というコントライブを思い出した。会社をリストラされたサラリーマン3人が、公園で会社ごっこをしているうちに、どんどん公園に「社員」が集まってきて、あたかも本当の会社のようになってしまう、といった内容だったと思う。
東京03ときたろうさんのコントが、いかにもシティーボーイズっぽい世界観だなあと思っていたら、コントを作ったのはラブレターズの塚本氏という人で、シティーボーイズと同じ事務所のコント師だった。なるほど、シティーボーイズの血を受け継いでいるのねと、妙に納得したのである。
それからしばらくして、職場の同僚と立ち話の雑談をしていたとき、ふとラジオの話題になった。僕の趣味がラジオを聴くことであることは、職場で公言していたし、その同僚もラジオ好きらしかった。
「先日、あれがすごく面白かったんですよ。NHKのラジオでやってる『東京03の好きにさせるかッ』という番組で、東京03ときたろうさんがコントをやっていた回があって…」
「あれ、聴いてたんですか?」僕はビックリした。
「ええ」
「あれ、面白かったですよねえ」
「レジェンド級ですよ」
僕がシティーボーイズのファンであることを知らないその同僚が、なぜ唐突にそのときのラジオコントの話題を出したのかはよく覚えていないのだが、ピンポイントでその回の話題を出したのは、やはりよっぽど面白かったのである。
ただ、その後は忙しくてまったく聴かなくなってしまったのだが、つい最近、どうやらシティーボーイズと同じ事務所の阿佐ヶ谷姉妹も出演したらしいと聞いた。だがそれを知ったときはすでに放送が終わっていて、聞き逃し配信も聞き逃してしまった。
諦めていたら、偶然その回が動画サイトにあがっていて、聴いてみたら、やはり面白い!ラジオコントっていいなあ、と思わせてくれた時間だった。で、これもまた、台本を書いたのはラブレターズ塚本氏。
ラジオコントが面白くなるかどうかは、音質のクオリティーがよいかどうかにかかっている、というのが僕の持論である。漫才のように、ふたりが同じトーンで喋るのではなく、少し離れた場所で喋っている人がいたら、自然と声は遠くに聞こえるようにしなければならない。つまり距離感や空気感にこだわらないと、ラジオコントは面白くないのである。そしてその距離感や空気感をうまく使って想像力をかき立てる台本が、よい台本である。ラブレターズ塚本氏の台本は、そのツボを押さえていたので、面白かったのだ。
自分たちが演じるコントの台本を自分たちで書くよりも、ひょっとしたら、自分が考えたコントを他人に演じてもらう方が、面白いのかもしれない。やはり、世の中にコント作家というのは必要なのだ。
それに加えて、天下のNHKがこれを放送していることも重要である。音響や音質にことさらにこだわる放送局だからこそ、ラジオコントに最も向いているとも言える。最もクオリティーの高い音質で聴くと、ラジオコントはさらに面白くなる。
ラジオコントの傑作選をCD化してくれないかなあ。
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