注文の多いオンライン講演会
12月14日(火)
昨日の「雪中行軍」ですっかり疲れてしまい、夜遅くに帰宅したのだが、翌日の午後は、職場で定例の会議があるので車で2時間半かけて出勤する。
出勤するとさまざまな案件が降りかかり、二つの会議の合間に職場の中をまわって解決につとめる。
二つめの会議では、こみ入った規定変更を説明しなければならないので、細かいところで揚げ足をとられないように、言葉に注意しながら説明する。なんとか異論もなく終了したが、神経を使いすぎて疲れてしまった。
夕方5時。某国に向けてのオンライン講演会まで、あと2時間ある。この2時間の間に、会議の余熱をクールダウンしなければならない。
もともと、無茶なスケジュール設定だったのだ。
某国からは、「11月か12月に、講演会をお願いします」と言われたのだが、まったく気が進まないので、「ちょっと忙しいですから時間がとれるかどうかわかりません」とか何とかいいつつ、はぐらかしていた。
それからしばらくすると今度は、「午後7時以降にオンラインミーティングをしたいので、ご都合のよい日を教えて下さい」と連絡が来た。
仕方がないので、いくつか候補日をあげたところ、12月7日にオンラインミーティングをしたことは、このブログにも書いた。
その翌週も候補日としてあげておいたら、「では1週間後の14日にオンライン講演会をお願いします」、だってこの日は空いているんでしょ?とばかりに、強引に設定されてしまったのである。これって何て言うの?騙し討ち?
まあ逃げられないと思い、どうせやらなければならないのなら、イヤなことは早くすませてしまおうと、仕方がなく引き受けた。
ところがよくよく考えたらその前の数日間は地獄のような忙しさなので、日程的には空いていても、体力が持つかどうかが不安だった。
それでも先方は、容赦なく注文を付けてくる。
「○日までに講演内容の資料をお願いします。事前に翻訳しなければならないので、早めに出して下さい」
「講演時間はどれくらいですか?」
「通訳を含めて2時間くらいです」
「2時間!?」
長いな、というニュアンスを先方も感じとったのか、「ま、1時間半から2時間の間くらいです」と訂正した。
必死に講演原稿を作り、提出した際に、「当日はこの原稿を手元で見てもらいながら、パワーポイントで画面共有しながらお話しするつもりです」と連絡した。
すると講演の前日の夜になって、
「すみません。できましたらパワーポイントのデータもお送り下さい。通訳をする先生は、日本語に自信がないとおっしゃっているので、できるだけ事前にどのような資料を用いるのかを知りたいと不安がっておられます。遅くとも講演の3時間前までに送って下さい」
と連絡が来た。パワポなんて、講演の直前まで試行錯誤しながら作ることが僕の流儀だったのだが、早めによこせというのだから仕方がない。僕は「雪中行軍」から帰った晩、夜なべしてパワポを完成させて先方に送った。
まったく、どんどんと注文が増えてくる。
さて、話を戻すと、会議が終わった5時からの2時間は、7時からの講演会の最終準備のほか、ほかの仕事のための準備に追われていた。
そしていよいよ午後7時。
その3分前に、教えられたミーティングIDとパスコードでZoomに入室すると、僕の画面と、ホストの画面の2画面しか映っていない。
ホストの画面では、慌てふためいた姿が映っている。
「ちょっと問題が起こりまして…」
「どうしたんですか?」
「先生には、日本時間で午後7時から講演を開始するとくり返しお伝えしたかと思いますが」
「ええ、そう聞きました」
「実は当方の連絡ミスで、こちらの学生には、こちらの国の時間の午後7時から開始すると伝えてしまっておりまして…」
「ええぇぇっ!!」
こちらと向こうでは時差が1時間ある。向こうの午後7時ということは、こちらの午後8時である。午後8時から最大で2時間、講演をするとなると、午後10時になり、それから帰宅するとなると、家に着くのは午前0時近くになるのだ。
しかしそんなことは、先方が知ったことではない。もともと、そんな事情はおかまいなしに依頼してきているのだ。
「いま、何とか7時半から始められないか、急いで対応しています。30分後にもう一度入室いただけますか?」
「わかりました」
もう怒っていいレベルなんじゃないか?という気がしてきた。
7時半にもう一度Zoomに入室すると、すでに多くの学生が入室していた。
「先生、もう一つ問題が…」
「今度は何ですか!?」
「この講演会のホストである、プロジェクトリーダーの先生が、急に党の会議に呼ばれまして、終わり次第戻るそうです」
党の会議?…ま、僕の講演会よりも、当然そっちの方が優先されるべきなのだろう。
いよいよ講演会が始まった。
僕の腹づもりでは、7時半から始まって、9時くらいに終わるつもりで話し始めた。1時間半~2時間くらいと言われていたので、最短時間で終わろうともくろんだのである。とにかく早く帰りたいのだ。
しかし話し始めると、どんどん時間が経ち、目標としていた9時に近づいてきた。
「あ、だんだん時間がなくなってきたので、少し先を急ぎます」
と言ったところ、向こうにいる日本人スタッフからチャットが来た。
「こちらは何時まででもかまいませんので、どうか思う存分お話し下さい」
いやいやいやいや!!そっちはそれでかまわなくとも、こっちはそんなわけにはいかないんだよ!
結局、9時半過ぎに講演会が終わった。今回もやはり、打てど響かない講演会だった。早くクビにしてくんないかなぁ。
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