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落ち着きのない人

3歳9ヵ月の娘を観察していると、飽きない。

「お笑い」の腕を、どんどん上げているような気がするのだ。

家族で食卓を囲んでいると、

「○○ちゃんはマルね、ママもマルね、パパは…バツね」

とよく言われる。なんだかよくわからないが、娘とママは「合格(マル)」で、パパは「不合格(バツ)」だというのだ。

で、最近は、

「○○ちゃんはマルね、ママもマルね」

ここまでは、それぞれを指さしながらニコニコして言うのだが、その後、急に表情が暗くなり、声のトーンを下げて、こちらを指さして、

「…パパはバツね…」

と、非常に「残念そうな顔」をして言うのである。その表情が可笑しくてたまらない。「3人目はオチ」というお笑いの鉄則を、知らず知らずのうちに修得しているのだ。

うんちがしたくなると、

「うんち!うんち!」

と親を呼びつけ、トイレに連れて行かせるのだが、

「うんちっち~♪うんちっち~♪」

という自作の歌を歌いながらトイレに向かう。すると、ふと我に返り、

「『うんちっち』って、何?」

と言う。

「知らんがな!おまえが歌ったんやないか!」

と、思わず僕が(なぜか関西弁で)ツッコミを入れてしまう。さんざん「うんちっち~♪」と歌った後の「うんちっちって何?」というボケは、計算なのか?天然なのか?

昨日は、お風呂に入るときに、娘がこんなことを言い始めた。

「チリリーン チリリーン

ちょっと、テレビ低くして!

はいもしもしキムラです。はい、はい、はい、はいはいはいはい、けっこうです、チン」

何を言い出したのかと思ったら、阿佐ヶ谷姉妹のM-1グランプリ準々決勝のときの「おばさん検定」という漫才のネタである。

しかも、電話がかかってきたという想定で妹のミホさんが電話を取って応対する、という漫才の一場面を再現したのである。これにも爆笑した。

「もう一度やって!」

と言うと、恥ずかしがっているのか、もったいつけているのか、やろうとしなかった。

しかし謎である。娘はなぜ、阿佐ヶ谷姉妹のわかりやすい歌とかではなく、このわかりにくい場面をマネしようと思ったのか?

そもそも、「チリリーン」という音が電話の呼び鈴であること自体、娘は知らないはずである。わが家には固定電話がないから、なおさらイメージしにくい。それに、うちはキムラでもない。電話で話している場面だということをわかっていてマネをしているのだろうか?すべてが謎である。

今朝、娘は起き抜けに阿佐ヶ谷姉妹の動画を見たいと言い出した。

「何が見たいの?」

「『落ち着きのない人』が見たい!」

「落ち着きのない人?」

はて、そんなネタはあっただろうか??

「細かすぎて伝わらないモノマネ」シリーズにそんなのがあったかな?と思って探してみるが、見つからない。とりあえず、サムネイルを見せながら、

「これ?」

と片っ端から聞いていくのだが、「ちが~う」と答えるばかり。思い通りの動画が見られないことにだんだんイライラがつのり、いまにも泣きそうである。

こうなったらこっちも当てずっぽうで、2020年に「オンラインやついフェス」として公開された「東京リモートコントメン」の動画を見せることにした。阿佐ヶ谷姉妹のほかに、ASH&Dコーポレーション所属の芸人「ザ・ギース」と「ラブレターズ」も、リモートコントを演じている。当然、娘もつい最近観たことのある動画だ。

すると娘は「これこれ」と言いだした。

はて、「落ち着きのない人」なんて、出てきたかな?

最初に阿佐ヶ谷姉妹のネタ、次にラブレターズのネタ、最後は、ザ・ギースのネタである。

最後のザ・ギースのネタをみていた娘は、

「落ち着きのない人!」

と言い出した。

賃貸物件を希望する客(高佐)が、オンラインで不動産屋(尾関)に問い合わせをするのだが、不動産屋のエキセントリックな言動に客が翻弄される、という内容のコントである。

娘は、不動産屋役をしているザ・ギースの尾関さんの画面を指さして、

「これこれ!落ち着きのない人」

と言ったのである。たしかに、画面の尾関さんを見ると、落ち着きのない様子をしている。

「わかるか!そんなもん!」

と思わずツッコミを入れた。阿佐ヶ谷姉妹が大好きな娘に「落ち着きのない人」って言われたら、誰だって阿佐ヶ谷姉妹のネタだと思うだろう!

ことほどさように、3歳の子どもは、謎に満ちている。

そういえば、Facebookのニュースフィードを漫然と眺めていたら、僕と同じ3歳の娘を持つお父さんの投稿があって、

「上野駅にペンギンのイラストがあって、かわいいなあと思うのですが、3歳の娘には不評でした」

というものがあった。

するとコメント欄に、

「何故不評だったのですか?私はかわいいと思いますけど」

と、その父親を詰問する感じのコメントが何件か来ていた。

父親は、困った様子で理由を想像して回答をしていたが、途中、「父親に詰問してもねえ、わざわざ理由なんて聞きます?幼い娘に」と援護射撃をした人がいて、それに対して「理由くらい、パパだもん、聞いているでしょ?」という反論のコメントが寄せられ、プチ炎上していた。

理由を聞いてもわからないことは多い。僕はその父親に、ちょっと同情した。

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