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オンライン会議の現実

11月30日(火)

少し前に、「こっちがほんとの『オンラインオフ会議』」というエピソードを書いた。

オンライン会議が苦手な人や、オンライン会議に参加できる環境にない場所にいる人に対して、ボタンを二つ押すだけでオンライン会議に参加できるという画期的なシステムを開発中で、先日、そのデモンストレーションが行われたのであった。

しかし、そのときにデモンストレーションに参加したメンバーの反応は冷ややかであった。曰く、

「いま、これだけオンライン会議が普及していて、オンライン会議に慣れている人が多い中で、どれだけ需要があるのか?」

とか、

「コロナ禍が2年近く続いているにもかかわらず、いまだにオンライン会議に対するアレルギーがある人は、どんな簡単なシステムを使っても参加しないのではないか」

といった意見である。

僕はその意見に違和感を抱き、反論した。

「たしかにうちの職場ではオンライン会議をあたりまえのように行っていますが、たとえば、地方自治体の職員さんなど、対面会議が主流であるところは、オンライン会議に慣れていない場合が多いのではないでしょうか。実際、そんな体験をしたことがあります。」

しかし、僕の反論は、あまりピンとこないようだった。

さてこの日、新幹線と在来線を乗り継いで2時間近くかかる町まで行き、その町の庁舎の会議室で対面とオンラインとの併用、すなわちハイブリッド会議に参加することになった。

もちろん僕も、その会議にオンラインで参加することもできたのだが、この日はたまたま1日空いていたことと、コロナの感染状況が落ち着いていること、そして、久しぶりにその町に訪れたいと思ったことなどから、現地参加することにしたのである。

前回の8月の会議では、オンライン参加したのだが、オンライン会議に慣れていないせいなのか、さまざまなトラブルに見舞われ、しばしば会議が中断した。しかし今回、現地参加をして、そのトラブルの真の理由が、はじめてわかったのである。

現地参加の委員は僕を含めて2人、そのほかの5人はオンライン参加とのことだった。あとはホスト役をつとめる事務スタッフである。

会議室に着くと、広い部屋に、タブレット端末が2台置いてある。

「こちらにお座りください」

と、タブレットの置いてある机の前に座らされた。

「申し訳ありません。会議用の端末が2台しかありませんので、現地参加のおふたりにはこのタブレット1台を共用してください」もう1台は、ホストである事務スタッフ用のタブレットである。

「それはかまいませんが、庁舎内にはノートパソコンが山ほどあるでしょう?それは使わないのですか?」

「使えないのです」

「どうしてです?」

「ふだん使っているノートパソコンは、セキュリティーの関係上、ネットワークが異なるため、オンライン会議の端末としては使えないのです」

「そうなんですか」

「しかも、オンライン会議専用のタブレット端末が、この庁舎内には全部で8台しかありません。ここ最近、各部局でオンライン会議を行うようになりましたので、8台の端末の取り合いになっているのです。で、今日はなんとか2台だけ確保できた、という次第でして…」

「それは不便ですね。しかも端末がタブレットだけだと、使い勝手が悪いでしょうね」

「ええ、そうなんです。タブレットだと、画面共有もできないので、それが困ります」

思い出した。前回の8月の会議でも、画面共有をまったくしなかったので、やり方がわからないのかな、と不審に思ったのだが、そもそもできない仕組みになっていたのだ。

「しかも、オンライン会議システムのアプリは、ZoomとかWebexといった使い勝手のよいものではなくて、どちらかと言えば使い勝手の悪いアプリですよね」

「ええ、うちの庁舎では、このアプリしか使えないようでして…。ほかの自治体も同じでしょうか」

「いえ、違うところもありますよ」僕は、他のアプリを使っている自治体の事例を紹介した。

やがて会議が始まった。前回と同様、オンライン会議はトラブル続きで、しばしば会議は中断した。

しかしそれは、僕が漠然と考えていたような、オンライン会議に慣れていないから、という理由ではなく、庁舎内でのオンライン会議システムがいかに使い勝手が悪いかという、構造上の問題に由来することがはっきりしたのである。

「オンライン会議なんて、いまやみんな慣れているさ」と、あのときの会議で発言した人と、僕とでは、見ている風景がぜんぜん違っているのだという思いを、僕は帰りの新幹線の中で、噛みしめたのだった。

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コメント

基本路線が人海戦術の当社もひどい有様でして。
・全社員に会社の建物内サーバ使用のデスクトップパソコン(メールだけ全国ネット。インターネット接続不可)
・管理者+本社勤務者、社外と連絡とる特定の社員に全社共有サーバ使用のノートパソコン(別のメールアドレス有。インターネット接続可)
・オンライン会議とテレワーク用にキーボード付きモバイル端末(課に数台)
・業務用携帯電話
が配備・・・。

私は常時デスクトップパソコンとノートパソコンを開いて、たまにキーボード付きモバイル端末借りてオンライン会議に出席というカオスに陥っています。

メールアカウントが2つあり、ノートパソコンの方にだけ連絡が来ると全員に周知できないので、自分の別アカウントにメール転送して展開するという無駄な作業も必要(直接展開すると迷惑メール扱いになるという無能仕様)

効率がどんどん悪くなっています。

投稿: 江戸川 | 2021年12月 2日 (木) 20時37分

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