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病院の待合室にて

2月17日(木)

車で1時間半かけて、定期診察のため病院に向かう。

大きな病院なので、あいかわらず外来の患者が多く、待合室はかなり密である。

待合室で待っていると、

「オダユウジさん、1番診察室にお入り下さい」

とか、

「オグラユウコさん、3番診察室にお入り下さい」

と、医者の先生が患者を呼び出す声が待合室中に響き渡るのだが、そういうときって、どうしても診察室に入っていく人の方を見ちゃうね。

都心の有名な病院ではなく、都外の、しかも市街地からもかなり離れた病院なので、まさか芸能人が通院しているはずもなく、同姓同名の人なのだろうけれど、それでも、どんな人だろう?と、つい診察室に向かう人の姿を確認しようとするのは、ミーハーである僕の、悲しい性(さが)である。

オダユウジさんは確認できなかったが、オグラユウコさんは、診察室に向かう姿が確認できた。もちろん芸能人ではなく、ふつうの人だったけれど、たぶん、自分が芸能人と同じ名前で、名前を呼ばれるたびに周りの注意を引くので、恥ずかしいという感覚がしみついているのだろう。顔を伏せて、ひどく足早に診察室に向かっていった。

待合室で呼ばれる名前といえば、たしかずっとむかし、ダウンタウンのコントに、病院の待合室で呼ばれる名前にまつわるコントがあった。

待合室でたくさんの人が待っている。医者が「○○さん、診察室へどうぞ」と呼び出すのだが、その「○○」の名前が、ふつうあまり聞かないような、珍奇な苗字なのである。

あまりに珍奇な名前ばかり医者が呼び出すので、みんなが驚いて、そのたびに診察室に向かう人の方を見る、というただそれだけのコントだった気がするが、僕が妙に覚えているのは、その中の苗字の一つに、「漆目八村(うるしめやむら)」という珍奇な苗字があったことだった。

本当にそんな苗字があるのか?と調べてみたのだが、どうも実際にはなさそうだ。それにしても、「うるしめやむら」という苗字を思いつく、その語感のセンスが、たまらなく面白くて、いまでも覚えているのである(病院の待合室という設定でなかったかもしれない)。

病院の待合室で思い出したが、桂文珍師匠の「老婆の休日」という落語だったか、病院の待合室での会話というのがあった。

「○○さん来てへんけどどないしたん?」

「風邪引いて休んでるわ」

これがたまらなく面白かった。

今年の正月に演芸番組を見ていたら、桂文珍師匠がテレビで新作落語をやっているのを久しぶりに見た。スマホの操作がわからない老人を主題にした内容で、腹を抱えて笑った。

桂文珍師匠は、僕が若い頃はバラエティ番組によく出ていて、本業の落語よりもそちらでの露出が目立っていた気がする。週末のニュース番組で政治のことを語ったり、上岡龍太郎と笑福亭鶴瓶の「パペポTV」の向こうを張って、西川きよしと「目玉とメガネ」というトーク番組を始めたが、当時は観ていて、さほど面白いとは感じなかった。文珍はどうもインテリに憧れているという印象を拭えなかったのである。

しかしここへ来て、桂文珍師匠の落語の面白さにようやく気づいた。やはりこの人は落語の人なのだ。たいへん不遜な言い方だが、さまざまな雑味が濾過されて、純粋に落語の面白い部分だけが残った、ということであろうか。いや、桂文珍師匠のことをたいして知らないくせに、こんなことを言うのは、やはり不遜である。

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