時刻表2万キロ
前回書いた、宮脇俊三さんの思い出というのは。
僕が小学校6年生のとき、ラジオ番組で初めて自分のはがきが読まれた、ということは、以前に書いた。
このブログでも何度も登場している、NHKラジオの「おしゃべり歌謡曲」である。
ふだんは、パーソナリティーの近石真介さんと平野文さんがトークをしながら歌謡曲のリクエスト曲をかける、という番組なのだが、ごくまれに、ゲストを呼んで話を聞く、という週があった。僕のはがきが読まれたときは、まさにゲストを呼んで話を聞く週で、そのときのゲストが、宮脇俊三さんだった。
その頃、『時刻表2万キロ』が大ベストセラーだった。調べてみると、この本が刊行されたのが1978年だったから、僕が小学校4年生くらいのときか。番組の前半はゲストの話を聞いて、後半にはがきを紹介するという構成だったと思う。
ふつうだと、ゲストのコーナーが終わると、ゲストは帰って、そのあとにリスナーからのおたより紹介、という流れになるのだが、この番組ではなぜか、ゲストコーナーが終わっても、ゲストがそのまま居残って、近石真介さんの読むはがきに一緒になってコメントをしていた。
近石さんが僕のはがきを読み終えたあと、「こういうこと、わかるなぁ」と、いつもながらリスナーに寄り添うコメントをしたあと、
「宮脇さんは、どうですか?」
と、近石さんが宮脇さんに話を振って、宮脇さんも、コメントを言ってくれた。つまり、僕の他愛もない内容のはがきに対して、宮脇さんがコメントを言ってくれたのである。じつに朴訥とした語り口だったことは、いまでも忘れない。
それがきっかけになり、『時刻表2万キロ』を読んだ僕だったが、鉄道ファンにはならず、それを語る宮脇さんのファンになったというのが、いかにも僕らしい。
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