ニコマコス倫理学
5月30日(月)
午前中にふたつのオンライン会議、それが終わってすぐに都内に移動して、3時間近くの打合せをした。予定が立て込んだせいか、帰宅後は動けなくなる。以前ならなんともなかったのだろうけれど、やはり無理がきかなくなってきている。
たまたま見た「100分で名著」で、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』の最終回が放送されていた。朗読は小林聡美。
テーマは「友愛」で、アリストテレスによれば、「友愛」には3つの形があるという。
一つめは、「人柄の善さに基づいた友愛」、二つめは「有用性に基づいた友愛」、三つめは「快楽に基づいた友愛」。
二つめの「有用性に基づいた友愛」とは、たとえば、学生時代、授業のノートを貸してくれたり、試験勉強を教えてくれたりする友だち。三つめの「快楽に基づいた友愛」とは、一緒にいて心地よい友だち。カラオケに行ってバカ騒ぎしたりする友だち。あるいは飲み友だち、等。
二つめについては、有用性がなくなると、関係は疎遠になるし、三つめについては、大人になったり、趣味が変わったりする過程で、やはり関係が疎遠になる。一つめの「人柄の善さに基づいた友愛」というのは、有用な友だちでも、快い友だちでもないのだが、お互いの人柄を尊重し、長続きできる友だち。しかし一つめの友だちを獲得するためには、お互いの人柄を理解しなければならない時間が必要である。
聞き手の伊集院光氏は、得意の漫才コンビとか野球チームなどにたとえて、この分類を理解していたが、おもしろかったのは落語のたとえである。いわく、
落語に登場する「与太郎」は、みんなで一緒に行動しても、まったく役には立たないし、よくポカもする。ではみんなにとって必要のない存在なのかというと、そうではない。与太郎がいると、空気が和み、まわりが安心し、何か困ったことがあったときも、与太郎の人柄でなんとかなる場合もある。「人柄の善さに基づいた友愛」というのは、与太郎のような存在なのではないか。しかし、いまの世の中で、組織の中でリストラが行われるとしたら、まっ先にその対象となるのが与太郎のような存在なのではないだろうか。そうなるとその組織はギスギスする。
…と、こんな内容だったと思う。
以前もこんなこと、たしかブログに書いたよなあと思って過去をたどってみたら、
というタイトルで書いていた。
だから、アリストテレスの友愛論は、僕にとってしっくりきたのだ。
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