汗だく取材2時間半
6月28日(火)
先週だったか、あるローカルテレビ局から、取材依頼のメールが来た。
取材内容は、昨年の夏に、キー局で放送された内容と、ほぼ同じである。
あまりはっきりとは言えないが…二番煎じなんじゃないの?という考えが頭をよぎった。
しかしまあ、この依頼はお断りするわけにはいかない。しかもこのテーマにゆかりの深い地元のテレビ局からの依頼である。
そして今日がその取材日であった。
ディレクターは、思っていたよりもかなり若い方だった。もう一人は、カメラマン。二人組の取材クルーである。
昨年の、キー局の取材クルーはディレクター、レポーター、カメラ、カメラアシスタントの4人体制だった。
カメラ機材が重そうである。
「暑い中ご苦労様です」外は猛暑日の気温である。「車で来られたのですか?」
「いえ、新幹線と在来線とタクシーを乗り継いで来ました」
なんと!ローカル局ゆえか、スタッフの人数といい、交通手段といい、予算を切り詰めているのだな。
さっそく撮影場所に移動する。
「この場所、見たことあります」とディレクター。
そりゃあそうだろう。昨年のキー局が取材に訪れた場所と同じなんだから。
撮影場所となる部屋は、冷房が効いているのだが、セッティングをしているうちに、汗が止めどなく流れてきた。
そういえば、前回の取材の時も、汗だくだった。
「では撮影を始めます」
カメラに撮られながら喋っている僕の顔には、大粒の汗がダラダラと流れている。もしこの場面が使われたら、視聴者は、
「この人、なんで大汗かいてるんだろう?」
と、僕の話している内容なんぞ、頭に入ってこないに違いない。そう考えはじめると、ますます汗が噴き出してくる。
あ、そういえば昨年の取材の時も、喋りながら同じことを考えていたのだった。
昨年の場合は、結局それが取り越し苦労で、数十秒しか使われなかったこともあり、噴き出す汗にうまく気づかれないように編集されていた。
今回もうまく編集してくれるだろう、とは思うのだが、そもそもこれが、どれくらいの長さの、どんな枠の番組なのか、よくわかっていない。
若いディレクターは、まだ若いゆえなのか、明確なディレクションがある様子もなく、僕も、どのようにふるまっていいのか、よくわからない。しかも、そのディレクターも僕も、基本的に饒舌ではないので、しばしば沈黙が続く。カメラマンの方がむしろ、気を利かして指示を出してくれたりする。
しかし、そんなことはどうでもよく、若きディレクターが誠実な人柄に思えたことだけで十分だった。
あとは、編集でなんとかしてくれるだろう。
こうして、2時間半におよぶ取材が終わった。
「ところで、これ、なんの番組なんです?」僕は最後にたずねた。
「ローカル局が持ち回りで制作して、キー局が深夜に放送するドキュメンタリー番組がよくあるでしょう?」
「ああ、ありますね」
「その枠で放送される予定です」
「そうですか?」
僕はてっきり、夕方のローカルニュースのワンコーナーで放送されるものとばかり思っていた。
…ということは、全国で放送されるのだろうか?
「8月の上旬ぐらいに放送する予定です。放送日が決まりましたらまたお知らせします」
「わかりました」
ドキュメンタリー番組ならば、もっとちゃんとカメラ映りとかを気にしておけばよかった。
細かい字が見えなくて、メガネを上に持ち上げるしぐさを、カメラの前で2,3度してしまったが、まさか、その場面が使われることはないだろうな。
僕は大汗よりも、そのことのほうが心配になった。
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