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気分はミュージックプレゼント

6月10日(金)

今週も、よくぞ、よくぞ「アシタノカレッジ金曜日」のアフタートークまでたどり着きました!

たぶん関東ローカルの番組だと思うんだけれど、ひとつの町をベストテン形式で1時間かけて紹介する長寿番組があるでしょう?

少し前に、うちの職場がある町が紹介されたそうだ。

あの町に、ベストテン形式で紹介するほどの名所があったかな?と、失礼なことを考えたのだが、なんとうちの職場が2位だったか3位だったかにランクインされていた。

それを見た実家の母の友人が、

「その町に行きたい」

と言ったそうだ。

母は、いまだに中学時代の友人たちと仲がよい。たまに、友人たちみんなでいろいろなところに出かけているようだ。

いまだに中学時代の友だちと一緒に出かけるなんて、すごくない?俺なんか、中学時代の友だちとは完全に音信不通なんだぜ。

母は、その友人たちに、その町にある職場に僕がつとめているということを言ってしまったのだろう。それがよけいにみんなを盛り上げたようだ。

「…というわけで、6月10日にあんたの職場を見学に行くことになっちゃったのよ」

「何人くらい?」

「7人」

「7人!?ずいぶん多いな」

「できれば説明もしてほしいんだけど」

「いまはコロナ禍なので、狭いスペースの中で説明することができないんだ。ほかのお客さんもいるしね。広いエントランスのところで、簡単に説明して、あとは自由に見学してもらうことで勘弁してよ」

「わかった」

自分の職場に母親が来る、という話で思い出したけれど。

むかし、ラジオで伊集院光氏が話していたことなんだけど、伊集院さんが10代の頃、スーパーの食肉売り場でアルバイトしていたら、たまに母親が肉を買いに来たんだそうだ。

10代の伊集院光少年からしてみたら、

「クソババァ、来んじゃねえよ!」

という心境である。

で、実際に母親が来ると、母親は息子に対して、

「あら、店員さん、今日はどの肉がお安いのかしら?」

みたいな口をきき方をしてくるので、よけいに腹が立った、という。

母親が息子の職場に来るというのは、若い頃だったらたしかに耐えがたいことだったが、もうこの年齢になれば、なんとも思わない。

同じ「クソババァ」でも、いまはもう、マムシさんのような心境である。

実際、7人の「ジジイ」と「ババア」が職場のエントランスに集まってきたとき、「ミュージックプレゼント」かと思ったもの。

あらかじめこの7人には無料で入れるように手配しておいた。そのことを告げると、そのうちの1人が、

「あら、私たち、招待されちゃったの?」

とか言って、軽口を叩いている。

僕が簡単な説明をはじめると、「ジジイ」と「ババア」の特性なのか、思ったことがつい口をついて出ちゃう。それが、つまんないギャグだったりする。

いよいよ僕は、「ミュージックプレゼント」をやっているマムシさんの心境になり、

「この、くたばりぞこないのジジイとババア、つまらねえ冗談ばかり言いやがって、なかなかくたばりそうにねえなあ。アッハッハ!」

と、危うく言いそうになった。

…と、ここで僕は気づいた。

恥ずかしいのは僕と母の、どっちだろう?

若い頃の僕だったら、自分の職場に母親が来たら恥ずかしくて仕方ないと思っただろうが、いまの僕は、とくにそんなことは思わない。

むしろ、自分の友人たちがしょうもないギャグを自分の息子(である俺)に向けて言っていることに、母親のほうが恥ずかしさを感じていたのではないだろうか。母親にしてみたら、自分の友人たちのことを息子に知られることになるのだから。

仕事部屋に戻って仕事を再開すると、1時間半くらいたった頃か、母から電話があった。

「いま、見学が終わって、みんなでお茶を飲んで、帰るところ。今日はありがとうね」

お茶を飲んで休憩するのを込みで1時間半とは、なんとも短い滞在時間である。さすがに「ジジイ」と「ババア」は疲れちゃったんだね。

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