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最強のスピンオフ映画

7月10日(日)

朝、投票に行ったあと、4歳3か月の娘を連れて映画を観に行く。

観に行った映画は、ディズニー・ピクサー映画の「バズ・ライトイヤー」である。

バス・ライトイヤーは、「トイ・ストーリー」シリーズに出てくる架空のおもちゃのひとつだが、映画の中ではメイン・キャラクターであるカウボーイの「ウッディ」の脇を固める。

つまりこのたびの「バズ・ライトイヤー」は、いわばスピン・オフ映画ということになるのだが、スピンオフ映画というと、なんとなく「面白くない」というイメージがあった。とくに日本の刑事ドラマの「劇場版」なんかでは、主役ではなく、脇役が主演をするスピンオフ映画がけっこう作られてきたと思うが、あまりおもしろいと思った印象がない。

なので、僕自身はあまり期待していなかったのだが、なにしろ娘は「トイ・ストーリー」のファンなので、娘が喜ぶだろうと思い、内緒で、「バズ・ライトイヤー」を観に行くことを計画したのである。

ところが娘は、

「大泉さんの映画泥棒の映画がみた~い」

という。何のことかわからなかったのだが、数日前に、ある民放のバラエティー番組の中で、映画の直前にスクリーンに流れる「NO MORE 映画泥棒」の映像が怖くて、映画館で映画を観ることができない、という若いタレントの悩みに、大泉洋さんが、実際に「映画泥棒」のキャラクターを連れてきて、その若いタレントと仲良くさせることで、「映画泥棒」へのアレルギーを解消させる、といった内容が放送されていて、それを観た娘が、「映画泥棒の映画を観たい」と思ったようである。

なんともわかりにくい説明ですみません。

「じゃあ、映画泥棒の映画を観に行こうか」

「やった~!」

と、娘を誘って、「バズ・ライトイヤー」を観に行くことにしたのである。

で、肝心の「映画泥棒」は、映画の直前に、数十秒流れただけで終わり。娘は、これが映画の本編だと思ったらしく、

「え?これだけ?」

と狐につままれたような表情をした。

すると、おもむろに、「バズ・ライトイヤー」が始まった。ここからが本番である。

…ということで、前置きが長くなった。

期待せずに見始めたのだが、これがすげーおもしろかった!

スターウォーズのような世界観の映画である。

「トイ・ストーリー2」の中で、バズ・ライトイヤーは敵である「ザーグ」とちょっとした対決をするのだが、そこでザーグがバズの父親であることがわかり、バズがショックを受けるというシーンがある。この設定は、明らかに「スターウォーズ」へのオマージュである。

つまり「トイ・ストーリー2」からわかる設定は、

「バズの敵はザーグであり、そのザーグはバズの父親である」

ということのみなのであるが、この映画では、その設定を見事に回収している。回収するばかりか、そこからひとひねり、物語を転がしていくのである。

無敵のバズを支える、頼りない仲間たちもすばらしい。

会社でたとえたら、「こんなヤツ、使えねえよ」という連中ばかりで、バズにとっては足手まといになるばかりなのだが、行動を共にするにつれ、次第にこの仲間たちがかけがえのない存在になっていく。この世の中に、必要でない人など、だれひとりいないのだ、という気にさせてくれる。

それと、LBGTQ+についてごく自然に描いているのもこの映画の特徴である。

というわけで、あっという間の2時間弱であった。

終わったあと、娘に感想を聞いたら、

「おもしろかったけど、ちょっと怖かった」

と言っていた。たしかに、大人でも怖いと思う場面はいくつかあったし、劇場では泣いている子どももいた。しかし一方で、コメディー的要素も強い映画である。

敵が迫ってくるというのに、ポンコツロボットが、どうでもいい説明を延々と喋ってバズたちが足止めを食らう場面では、後ろにいた子どもが、

「おまえは喋るな!」

と、ツッコミを入れていて、それがたまらなく可笑しかった。

娘にどんなところがおもしろかった?と質問すると、どうでもいい場面をよく覚えていて、それを細かく説明していた。

大人はついストーリーを追ってしまいがちだが、子どもはそれよりも、自分にとって印象的な場面こそがその映画のポイントなのかもしれない。

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