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たいこムーン

8月30日(火)

通勤途中に聴いていた「大竹まこと ゴールデンラジオ 月曜日」で、「大竹メインディッシュ」のゲスト、内田也哉子さんの話に、つい聴き入ってしまった。

内田也哉子さんに関する僕の知識は、

・父が内田裕也さん、母が樹木希林さん、夫が本木雅弘さん。

・「おかあさんといっしょ」の2019年9月の月歌である「たいこムーン」の作詞者。

・早坂暁さん脚本のドラマ「花へんろ 風の昭和日記」で、女遍路を演じた樹木希林の娘役として「小きりん」という芸名で出演していた。

という3つくらいである。

いままでちゃんと話を聞いたことがなかったが、落ち着いた喋り方で、まるで樹木希林さんを彷彿とさせるようなたたずまいだった。ま、親子なのであたりまえだが。

小さい頃からの親子関係から始まり、樹木希林さんを看取るまでの話を聴いているうちに、自然に涙が出てきてしまった。

とくに、死を目前にした樹木希林さんが、その2週間ほど前の9月1日に突然、「死なないで」とつぶやいたという話。そこにどんな意味があったのかを、内田也哉子さんの語りで聴いたときには、ちょっと涙腺が崩壊した。

その話のあたりから、ラジオの中では、聞き手がメインパーソナリティーの大竹まことさんから、月曜パートナーの阿佐ヶ谷姉妹のエリコさんに代わる。

エリコさんは、すでに内田也哉子さんの『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社新書、2022年)を読み込んでいて、その本の中で印象に残ったところを次々と質問していく。

そのとき僕は思った。ひょっとしたらこのとき、僕と同じで、内田也哉子さんの話を聞いて、大竹さんも涙腺が緩んだのではないだろうか。

それを察知した阿佐ヶ谷姉妹のエリコさんが、涙腺が緩んでなかなか言葉にならない大竹さんの代わりに、内田也哉子さんとの対話を進めたのではないだろうか。そしてようやく、大竹さんの気持ちが落ち着いたところで、バトンタッチして、最後に大竹さんがとっておきの質問をして、コーナーが終わる。

もちろん、これはイタいファンである僕のまったくの妄想なのだが、もしその通りだとすると、この信頼関係はそうとうに厚いものだと、ますますこの番組の機微というものに魅せられる。

さて、この番組の中で、内田也哉子さんは、次のようなことを言っていた。

父の内田裕也は、自分が生まれてから数えるほどしか会っていないし、まったく家にも寄りつかず、母がなぜ離婚しようとしないのか、自分はほんとうに愛されて生まれてきた子どもなのか、と、子どもの頃はそのことに悩んでいた。

しかし年齢を重ねるにしたがって、父のことがなんとなくわかるようになってきた。たしかに表面上は、常識外れで自分勝手なところがあるが、芯のところにはジェントルマンな部分があることに気づいた。それでようやく父を理解できるようになった、と、正確ではないが、たしかこんな話だったと思う。

僕はこの話を聞いて、そうか、そういうことなのか、と気づいた。

内田也哉子さんが「おかあさんといっしょ」の月歌のために作詞した、「たいこムーン」の歌詞には、印象的な一節がある。

「きみのまんなか みーつけた」

そうか、この歌は、父の「芯の部分」に気づいた内田也哉子さんが、父に向けて書いた歌だったのではないだろうか。

僕はそのことに思い至ったとき、「たいこムーン」の不可解な歌詞の謎が解けた思いがして、ますます涙が止まらなくなった。

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