秘境探検その3・お弁当
8月23日(火)
いま滞在している秘境で「食事」というのは、具体的にはお弁当のことである。
実は、僕の妹も、僕よりも10日ほど早く、「秘境探検」を体験している。もっとも、探検場所は、僕が今いる場所とは少し異なる。
秘境探検に出発する前に、妹にも体験談を聞いてみた。
「朝・昼・夕の3食すべてお弁当なので、そのうちに(同じような味に)飽きてしまう。汁物も出ない。いったん秘境に入ってしまうと、探検が終了するまでそこを出られないから、あらかじめ自宅から必要な補助食品を持っていった方がよい」
「たとえばどんな?」
「インスタントの味噌汁とか、飲むフルーツゼリーとか。毎朝、200㎖のブリックパックの野菜ジュースが1本支給されるけど、それだけだと物足りないから、飲むフルーツゼリーは持っていった方がよい。それと、おやつ代わりのお菓子と、あとは、チョコレートとキャンディーが意外と役に立ったな。自分の味覚を確認する意味でも、持っていった方がよい」
「なるほど」
「あと、ペットボトルは水とお茶しか支給されないから、経口補水液を持っていった方がよいかもよ」
僕は言われたとおり、お湯を入れるだけのもずくスープ、朝に飲むための粉末のポタージュ、飲むフルーツゼリー、経口補水液500㎖3本、スナック菓子、チョコレート、パインアメ、といったものを、海外旅行用のスーツケースに詰め込んだ。その上、着替えやらタオルやら本やらが入っているので、荷物はパンパンである。
さて、秘境に入り、お弁当生活が始まる。
お弁当は、想像していたよりも豪華で、量も多かった。以前、どこぞの自治体で、お弁当が貧相だったというニュースを見ていたので、期待していなかったのだが、期待以上のものだった、といってよい。
当然のことながらお弁当は冷たいので、各階のエレベーターの前に、電子レンジが置いてある。そこに、
「火事を誘発する原因になりますので、長時間のあたためはご遠慮ください。弁当のあたためは1分30秒以内にお願いします」
と、大きく注意書きがある。演歌歌手の三山ひろしさんの名言「ナスはレンチン1分半」を思い出す。
僕は、とくに弁当を温めなくてもよい派なので、電子レンジは使わない。それでも問題なく食べられるお弁当だった。
今日で朝・昼・夕の2サイクルの食事が終わった。同じようなプラスチックの弁当箱ながら、朝、昼、夕のお弁当の中身は、それぞれの時間に合わせたものとなっている。
朝食は、初日はパンが入っている「洋風朝食」で、2日目はごはんが入ってる「和風朝食」だった。おそらく、この2パターンが交互に出されるのだろう。
昼食は、初日は幕の内絵弁当みたいなもの、2日目はうどんだった。これも、このパターンが交互に出るのだろうか。
夕食は、正方形の弁当箱が3×3の9つに仕切られていて、そのうちの3マスにごはん、他のマスにおかずが小鉢のように並ぶ、いわゆる「京風おばんざい弁当」みたいな趣の弁当である。3種類のごはんは、それぞれ味を変えてある。
で、このほかに、「カップ焼きそば」も選ぶことができる。ただしこちらは、1日の中で数に限りがあるので、早い者勝ちで受け取ることができる。「お弁当に飽きた人」用に用意されたものであろう。僕も、在庫が残っているときに2つほど落手できた。
ちなみにインスタントラーメンは、どの秘境にも置いていない。これは探検作家の体験記にも書いてあったと思うが、インスタントラーメンの残り汁を個室の洗面台に流すと、残っている麺も一緒に流れて洗面台が詰まってしまう恐れがあるので、食べ終わったときに汁の残らない「カップ焼きそば」のみが置いてある、というのだ(カップ焼きそばの捨て汁は、お湯だけなので問題ない)。
さて、弁当を食べ続けてわかったことは、
「これだけでお腹がいっぱいになる」
ということである。なにしろ、まったく身体を動かさないので、もともと腹が減らないのである。そこへ来て、定期的に弁当を食べさせられるのだから、空腹感に襲われることはなく、常に満腹感に満たされている。
だから、味を変える、なんて余裕もなく、あらかじめ持ってきたスナック菓子だとか飲むフルーツゼリーとかチョコとか飴とか、なかなかお腹に入る余地がないのである。考えてみれば最近は、かつてほどスナック菓子なんか食べなくなっているのだ。飲むフルーツゼリーに至っては、これまで「飲むフルーツゼリーを飲んで救われた」という経験がない。僕にとって、ふだん必要ないものは、こういうときにもあまり必要がない、ということがわかった。
たとえば、朝食を8時に取りに行くとする。食べ終わるのが9時として、その3時間後が昼食なのだ。
僕の場合、体力が落ちているせいなのか、あるいは寝ているベッドや枕と相性が悪くて眠りが浅くなってしまうのが原因なのかよくわからないが、朝食を済ませた後、猛烈な眠気に襲われ、つい二度寝してしまう。ハッと目を覚ますと、もう11時過ぎである。そのとき、あと1時間で昼食なのか!と愕然とするのである。
前回書いたが、朝食の時間は朝7時45分から9時までの75分である。この間に1階まで朝食のお弁当を取りに行かなければならない。なかには、時間ギリギリの9時になって朝食を取りに行く人がいる。仮に9時から食べ始めて10時頃に食べ終わったとして、その2時間後には昼食が待っていることになる。
そう考えると、鬼門は昼食である。空腹感のないままに、昼食のお弁当をがっつり食べてしまうと、かなりキツいことになる。
そうか、そこで「カップ焼きそば」か!昼は弁当を受け取らず、「カップ焼きそば」だけで済ませればよいのだ!
我ながら妙案である。もっとも、カップ焼きそばのラベルには「ごっつ盛り」と書いてあり、それだけでも十分な量である。
本日の昼食で、個室に取り置いていたカップ焼きそばでそれを実践したが、食べ終わった後、カップ焼きそばの容器を1階まで捨てに行き、(ちなみに今日の昼食のお弁当はなんだったんだろう?)と、お弁当の積んであるところに行ってみて、驚愕した。
(しまった!今日はうどんだった!…)
最初からうどんとわかっていれば、今日の昼食をカップ焼きそばにしなくてもよかったのに…と、僕は後悔した。
このお弁当のローテーションに早く慣れることが肝要だが、たぶん慣れる前に、この秘境探検は終了である。
残り一つの「カップ焼きそば」は、いつ投入しようか。
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コメント
本文記事が結構おおごとになっているのに、コメント欄が沈黙しているのはなぜか。
それは、月初めからこちらも「ひとり自宅合宿」中だからである。
せっかく、少女時代がデビュー15周年記念でカムバックしたというのに、
とにかく痛いの痒いので、何も手につかず、食べて、薬のんで、TVerを見て、寝て、眠れない、の繰り返し。
食事を作るのがおっくうで、食が細ってしまったせいか、寝てるだけなのに体重が2週間で2キロも減ってしまった(ラッキー)。
さて、ひとり自宅合宿で一番困ることは、背中にひとりで軟膏が塗れないことだ。
そういう時は、薬局で「軟こうぬりちゃん」を買うに限る。
孫の手にもなるから、痒い時にかくこともできて一石二鳥である。
とすれば、あとは「セルフ差し入れ」で、自ら「お見舞い感」を自演すればよい。
この病気はいろんな人が罹っているらしく、周りに話すとみんな気の毒がってくれる。
だからといって、どこぞの「セルフ監獄」と違って何の制限もないのに、お見舞いが来ない。
そこで一昨日はシュークリーム、今日はロールケーキを「セルフ差し入れ」として買いに行った。
最近は果物の値段がやたら高いが、「セルフ差し入れ」と考えれば高級フルーツもストレスなく買えそうだ。
鬼瓦さんへの差し入れも「セルフ差し入れ」としてこちらで食べておくので、どうか元気になるように。
投稿: 🐢🏥🍰 | 2022年8月24日 (水) 19時00分