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不安な大学院授業

8月3日(水)

今日もよく仕事をしたねぇ。

午後は3時間、大学院生7人の前で授業をすることになっていた。オンラインではなく、対面授業である。7名の大学院生はそれぞれぜんぜん専門分野の異なる人たちなので、その7名が満足できるような授業をしなければならない。

パワポを作ったが、どうもあまりおもしろくない。

そこで思い出したのが、僕が昨年の夏に出演したテレビ番組が、10分程度にまとめられてYouTubeにアップされていることである。授業の内容とまったくかかわらないとは言えない内容だったので、それを「箸休め」的に見てもらおう。

いまでも削除されずに残っているのかなと調べてみると、まだそのテレビ局の公式チャンネルに残っていた。

久しぶりにみて、ビックリした。

56万回再生とあるではないか!

56万回再生、ってすごくない?1年経ったいまも、見てくれている人がいるのだな。

とにかくその10分程度のYouTubeの映像をパワポの箸休めに流そうと思いついた僕は、担当の職員に、

「パワポのほかに、パソコンからYouTubeの映像を流したいと思うのですが、部屋のプロジェクターのスピーカーから音声は出ますか?」

と事前に問い合わせた。

僕が心配したのは、先日、ある庁舎で行われたオンライン学習会で、音声が大型画面のスピーカーから流れなかったというトラブルを経験していたからである。

すると担当事務が、

「大丈夫ですよ。問題ありません」

と自信ありげに答えた。

しかし、接続テストをしていないので、ほんとうに大丈夫か不安である。

僕は講義が始まる30分前に、その担当事務の人と部屋に行き、パソコンをセットすることにした。

まず、スクリーンに自分のパソコンの画面が映し出される。はい、第一段階クリア~。

次に、僕のパワーポイントがスクリーンに映し出された。はい、第二段階クリア~。

問題は次である。

YouTubeを立ち上げて、その配信番組を流してみたのだが、スクリーンに映像は映るけれど、音声が聞こえない。

正確に言うと、音声は、僕のノートパソコンからしか聞こえないのである。

「おかしいですねぇ。スクリーンのスピーカーから音声が出ませんねぇ」

俺、さっきメールで確認したよね!「音声は大丈夫ですか?」と。そしたら「大丈夫です」と自信たっぷりに答えたよね!

いろいろ試してみたが、パソコンの音声がスクリーンのスピーカーから出ることはなかった。

困りはてた担当事務は、別の職員に応援を頼んだ。

しかし応援を頼まれた職員も、見るからに、機器に詳しくなさそうな人である。どうしてそんな人を呼んじゃったのだろう?

「おかしいですねぇ」

の連発である。

ほら、もっとほかにも、機器に詳しい職員がいるでしょ!なんでその人を呼ばないの?

…と、喉元まででかかったが、授業開始までもうあまり時間がない。

仕方がないから、苦肉の策で、マイクをノートパソコンのスピーカーに近づけ、ノートパソコンの音をマイクで拾ってそれをスピーカーから流す、という方法を提案した。

「それ、いいですね。聞こえます聞こえます」

それいいですね、じゃないよ!

僕としては、最良の環境で授業を提供したい、と思っているのだが、機器の不具合のために(あるいは、機器に関する知識がないゆえに)、最適な授業環境を提供できないとなると、講義をする方もそれを受講する方も、だいぶテンションが下がる。

でもまあ仕方がない。もとはといえば、事前に接続テストをしなかった僕が悪いのだ。

なんだかんだあったが、授業は無事に終わり、そのあとは、休む間もなく来年のイベントに関する打合せである。

2時間ほどの打合せが終わり、その結果をふまえて、忘れないうちに諸方面にメールで連絡をする。送るべきメールの数が思いのほか多くて、しかも一つ一つが異なる内容であるために、だんだん頭が回らなくなっていった。

ある人がさっそく返信をくれて、「それ、前に確認したはずですけど、以前のメール、見てなかったんですか?」的なニュアンスの、ややキレ気味の内容だった。…というか、僕も疲れているせいで、そんなふうに読み取れたのである。

僕はさっそく「たいへん申し訳ございません。すべて僕の記憶違いと勘違いによるものでした」と返信を書いた。

何事に対しても怒らず、自分に非があればすぐに謝る。そうしないと、自分のような吹けば飛ぶよな存在は、とたんに信頼をなくしてしまうということに、いま思い至っている。

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