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まだ生きている

9月10日(土)

旅の空。

少し時間があったので、美術館まで足を運ぶ。「県美展」をやっていた。県美展とは、「広く県民から美術作品を公募し、優れた作品を展示することにより,創作活動を奨励するとともに,鑑賞の機会を提供し,芸術文化の向上に資する美術の祭典」である。

とくに知り合いが出品しているというわけでもなかったのだが、ここを訪れたのも一期一会、と思い、県美展を見てみることにした。こういう展覧会に足を踏み入れたことがなく、美術の素養のない僕のイメージとしては、県民の人たちが趣味で美術制作をしたものを展示する機会なのかな、と想像していたのだが、そうではなかった。

絵画や彫刻や工芸など、さまざまな美術作品が展示されているが、やはり目を引くのは絵画である。出陳作品の多さもさることながら、どの絵画も、目を奪われるほどのすばらしさである。どれも渾身の力で描いていることがひしひしと感じられた。

作品の下には、その絵画のタイトルと、名前が書いてある。さらに、その中のいくつかには、「○○賞」とか、「賞候補」といった札が貼ってある。つまり、どの絵画が賞を取って、あるいは賞の候補となったのか、あるいは惜しくもそこに届かなかったのか、などがわかるようになっている。

しかし僕が見たところ、どの作品が賞にふさわしいか、というのは、甲乙つけがたい。この作品がなぜ賞を取り、あの作品がなぜ賞が取れなかったのか、紙一重の問題ではないかとも僕には思われたが、きっと見る人が見れば、賞にふさわしい作品と惜しくもそうでない作品には、それなりの違いがあることがわかるのかもしれない。

僕が印象に残ったのは、老人男性を描いた絵画、おそらく自画像であろうか。その老人の部屋には、横尾忠則の肖像画と、ゴッホの「アルルの跳ね橋」の絵が飾ってある。ゴッホの「アルルの跳ね橋」は、黒澤明監督の映画『夢』に登場していたので、すぐにわかった。その老人が気に入っている絵画だろうか。

この絵画のタイトルを見ると、「まだ生きている 描いている」とあった(正確ではないかも知れない)。僕はその絵画に描かれている老人男性の境地を思い、まだそこまでの境地に達していない自分とを、重ね合わさずにはいられなかった。

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