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やっぱり無事じゃなく終わりました

9月4日(日)

成功裡に終わった昨日のイベントから一夜明けた今日は、まる一日巡検の予定である。

イベントが終わったあと、巡検のリーダーが言った。

「明日の巡検なんですけど」

「はい」

「台風の影響で天気がどうなるかはわかりませんけど、もし天気が大丈夫だったら、午前中に登山したいと思います」

「登山、ですか」

僕は、できれば登山をしたくない。大病を患ったあとの体力の低下に加え、コロナ禍の運動不足で登山に対する自信がすっかり失われているのだ。

「登山…って、どのくらい歩くのですか?」

「山の中腹まではタクシーで行って、そこからなだらかな自然歩道を30分ほど歩きます。で、山頂から反対側に降りるまでが30分なので、全部で1時間くらい歩くでしょう。多少のアップダウンはあるみたいですが、大丈夫だと思いますよ」

「あの…僕、そうとう歩くのが遅いので、その2倍くらいかかると思いますよ。足手まといになりかねません」

「大丈夫ですよ。休みながら行きましょう」

僕は、翌日が大雨になることをひたすら祈った。

さて、今朝起きて、ホテルの窓の外を見ると、晴れ間がのぞいている。

(ああ…やはり登山をするのだな)

貸し切りのタクシーに、巡検の参加者3人が乗り、目的の山の中腹にある駐車場でおりる。

「さあ、ここからいよいよ歩きます」

最初は、木陰の涼しさだとか吹く風の気持ちよさを感じて、これならハイキング気分で大丈夫だろうと思っていたが、だんだんと道が険しくなり、さらに足場も悪くなった。そもそも僕は、ガッチガチの扁平足なので長く歩くことにむいていないのだ。そのうえ、昨日のイベント用に革靴を履いてきちゃったものだから、それもあってさらに足が痛くなる。

極度の運動不足なので息も上がり、周りを見る余裕もなくなった。

僕以外の2人は、僕とほぼ同い年でありながら、じつに健脚である。僕はだんだん、自分がダメ人間のように思えてきた。

しかし僕は、もともとが満身創痍なのだ。この満身創痍ぶりをいくら伝えようとしても、たぶんだれにも理解されないだろう。

考えてみれば、頂上に登るのだから、いくらなだらかといっても、ある程度山道を登るわけだ、というか、ぜんぜんなだらかではなかった。

やっとの思いで山頂に着き、そこから反対側の斜面を降りていって、そこで待ち構えていた貸し切りのタクシーに乗った。タクシーの中は、天国のような涼しさだった。

時間を見ると、お昼の12時になっている。9時半頃に登りはじめたから、2時間半も登山をしていたことになる。しかも革靴で。

当然汗かきの僕は、全身ずぶ濡れのような状態になった。

「昼食のあとは、街なかを見てまわるだけですから問題ないです」

と言われたが、貸し切りのタクシーに乗ったかと思ったら降り、のくり返しで、しかも午後になると気温が上がり直射日光を受けるので、木陰を歩く山道よりもある意味キツい。

「ここからちょっと歩くだけですから」

と言われたが、その「ちょっと」も、塵も積もれば山となる、で、日差しの強い中を、かなり歩くことになった。

考えてみたら、座って休んだのが、昼食のために入ったうどん屋さんのときと、貸し切りのタクシーに乗っているときだけである。

キツそうに歩いていると、ほかの人たちに「かわいそうな目」で見られるし、つくづく、自分がイヤになった。

ということで、やっぱり無事じゃなく終わりましたが、台風の影響もなく、予定通り夜の飛行機に乗って無事に帰ってきました。

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コメント

心字池にかかる 三つの赤い橋は

三つ目が未来で 二つ目が現在(いま)

一つ目の橋で君が 左へ曲がった先で

初めて僕の耳に触れた 基調講演

しゃべり終えた後で 君は次の発表を聞いて

これじゃあ明日は登山だと も一度観念したね

登り始めたらあとは 上るしかないと

上るしかないと 気づかなかった

四天王様の細道

投稿: 🐢🕊🌸 | 2022年9月 5日 (月) 22時37分

こぶぎさんには簡単でしたね。

投稿: onigawaragonzou | 2022年9月 8日 (木) 01時01分

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