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しつこくてすいませんが…

10月5日(水)

月曜日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」に三宅裕司さんがゲストで出ていたとか、火曜日の「大竹まこと ゴールデンラジオ」のオープニングで「大量返事社会」という武田砂鉄さんの言葉に共感したとか、そんな話を書きたいのだが、クッソ忙しいのと、体中が痛くて文字通り満身創痍のため、気の利いたことが書けない。

このところ、件名に「しつこくてすみませんが…」とあるメールが毎日のように来ていた。毎日、というのは大げさだが、体感的に毎日である。

これはスパムメールなどではなく、出版社からの原稿の催促である。

僕は1500字の原稿を9本、3000字の原稿を5本書かなければならなかった。全部で30000字近い分量である。

9月1日が締め切りだったのだが、まったく書けない。9月を1週くらい過ぎたあたりで、

「進捗状況はどうなってますでしょうか」

というメールが来た。この頃の件名は「よろしくお願いします」だった。

ちなみにこの原稿が載る本は、絶対に今年度内に出さなければならない。法律で決められているのである。法律で決められている、というのは大げさだが、それに近いくらいの拘束力がある。だから、出版社も原稿の取り立てに必死なのだ。

執筆者は僕だけではなく、10数名からなるメンバーである。さあ、こうなるとだれがビリになるかである。

9月中旬頃になると、催促のメールが頻繁に来るようになる。この頃の件名は「いかがでしょうか」。

「できた分からでけっこうですので、五月雨式にお送りください」

こっちもさすがに焦ってきて、時間が空いているときに少しずつ書いてはいるのだが、クッソ忙しくてまとまった時間がとれないのと、原稿を書くための資料も必要なので、思うように進まない。このブログみたいに、脳内だけで書く、なんてことはできないのだ。

ちまちまと書いては出し、書いては出しとしているうちに、9月26日(月)に、1500字の原稿9本を出すことができた。

「お忙しいなか、ありがとうございます。これで1500字の原稿はすべていただきました。残るは3000字の原稿です」

ようやく、折り返し地点まで来た。その2日後、出版社からまた催促のメールが来た。

「あとは3000字の原稿5本です。9月30日には印刷所に入れる約束になっています。30日にすべての原稿を印刷所に入れることはできませんが、少しでも多くの原稿を入れたいのです。1つでも、2つでも原稿をいただきたく、お願いいたします。」

9月30日?あと2日しかないではないか!

僕はその悲壮感漂うメールに罪悪感を感じて、急いで3000字の原稿を書くことにした。出張から帰った29日の夜に1本書いて送信し、翌30日は、午後のオンライン会議の始まる前に1本書いて送信した。

最後の原稿は、入稿に間に合うかな?と思いつつ送信したのだが、どうやら30日の午後の入稿に間に合ったようである。

もうね、こうなると読み返したり推敲したりする時間なんてありゃしない。いわゆる「撮って出し」である。

その後、10月2日に3000字の原稿2本を書いて送信し、これで残すところ3000字の原稿あと1本になった。

すると2日後の10月4日、「しつこくてすいませんが…」という件名のメールが来たのである。

「残すは3000の原稿1本を残すのみとなりました。10月7日に印刷所に入れる約束になっています。しつこくてすいませんが、どうかよろしくお願いいたします」

えええぇぇぇっ!!!10月7日に印刷所に入れるだと???聞いてないよ!というか、9月30日に印刷所に入稿する、という話は、何だったんだ?

10月7日に入稿ということは、遅くとも10月6日までに原稿を送信しなければならない。もうね、最後の3000字原稿は、どうやって書いたのかまったく記憶にない。メールの記録を見ると、10月5日に日付が変わったばかりの時間に、最後の原稿を提出している。そして今日の朝、

「これでご担当分は、すべていただきました」

と、一件落着したのだった。

やれやれ、いちばんビリだったのはちょっと恥ずかしいなと思っていたが、メールの様子だと、どうやら僕よりも遅い人がいるらしい。僕は出版社にまんまと乗せられたのか??

しかし、こんなにがんばって書いても、僕の書いた30000字近くの原稿は一般の人の目にふれることはないのだ。僕は日々、だれに向かって文章を書いているのだろう。

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