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映画を何で観るか

10月17日(月)

今日は、職場の一斉休業日。建物全体が停電になるので、職場からのメールが絶対に来ない。それだけで、これほどまでにすがすがしい気持ちになるのは、ふだんよほどストレスがたまっているのだろう。昨日は具合が悪くなり、ほとんど動けなかったが、強い薬を飲んだせいか、今日はなんとか体調を持ち直した。

しかしながら、出版社からの原稿の催促と、交渉先からの難しい条件の提示、といったメールはふだん通りやってくる。それでまたメンタルがやられてしまう。

そんなことはともかく。

4歳6か月の娘は、以前にも述べたように、2時間19分の映画を、途中で飽きずに見続けることができる。ま、「さかなのこ」という映画だったからかもしれないが、ほかにも「シン・ウルトラマン」や「シング ネクストステージ」「バズ・ライトイヤー」といった長編映画を飽きずに観ているのだから、実はすごいことなのではないか。

どうも、保育園の同じクラスのお友だちは、飽きっぽい子がいるようで、じっとしていられない子が多いようなのだが、うちの娘は、じつに集中力がある。

映画を何で観るか、という問題を時々考える。

僕は「監督」で観る傾向がある。黒澤明監督とか、大林宣彦家督とか、是枝裕和監督とか、ポン・ジュノ監督とか。しかし、最近は、テレビで映画のCMが流れても、監督名があらわれないものがほとんどである。映画にはもう作家性が求められなくなってきているのだろうか。

「映画を監督で観る」と豪語する僕も、「さかなのこ」と「南極料理人」が同じ沖田修一監督だということに気づかなかった。監督がブランドにならない時代に、すっかり僕も慣らされている。

対して妻は、映画をストーリーで観る。だれが撮ろうと、だれが出演しようと、そんなものはどうでもよく、ストーリーがおもしろければそれでよいのである。だから映画のスタッフやキャストをやたらと気にする僕の映画の見方には、かなり批判的である。

娘はどうやら、僕の映画の見方と同じで、ストーリーよりもむしろ、出演者が気になるようである。

小池栄子を「まさこさん」と呼ぶのは、大河ドラマの役名である。

綾瀬はるかは「れいこさん」と呼ぶ。これはフジテレビのドラマ「元彼の遺言状」の役名である。

この両方のドラマに出ていたのが大泉洋さんだが、ふしぎなことにこの「大泉さん」だけは「大泉さん」と本名で呼ぶ。

斎藤工は「うるとまらん」と呼ぶ。ほかのドラマとか、CM に出ていても、「うるとまらん」だとすぐにわかるらしい。

竹野内豊と一緒に、タクシーアプリのCMに出演している前原滉という俳優がいるのだが、そのCMを観るたびに「大高さん!」という。NHKのドラマ「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」の「大高マネージャー」役で出ているの覚えているのである。

しかも先日観た「さかなのこ」にも、ぜんぜん雰囲気の違うツッパリ役で出ていた。最初は気づかなかったようだが、「大高さんだよ」というと、「あ~」と反応したから、たぶんわかったのだろう。

つまり、俳優がどんなに扮装しても、たとえば、時代劇でちょんまげのカツラをかぶった人がふつうの現代劇に出ても、人のよさそうな役柄の人が不良の役を演じても、娘は、同一人物であると見抜く才能を持っているのである。

今日なんか、以前録画しておいた是枝監督の映画「海街diary」を観ていて、長女役の綾瀬はるかを見て、「あ!れいこさん」、次女役の長澤まさみを見て、「あ!うるとまらんに出ていた人!」、三女役の夏帆を見て、「あ、ミー坊のお友だち!」(映画「さかなのこ」より)と、同定できていたからね。唯一、四女役の広瀬すずはまだ娘のデータベースの中にはないらしい。

でも、そんなふうに映画を観るというのは、ほんとうはよくないのかもしれない。これを突き詰めていくと、「おまえ、それって映画論ではなく、役者論だろ!」といいたくなるような映画評論家に成り下がってしまうことになりかねない。それは避けたい。

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