カメラマンの生態
11月16日(水)
今週はクソ忙しい、というか、来年のイベントまでこんな感じで終わりなき仕事が続くのかと思うと、ノイローゼになりそうだ。
今日は朝から一日、プロのカメラマンと仕事である。これまで何度か一緒に仕事をしているが、若くてとてもまじめな青年である。当然のことながら、撮影に関するこだわりは並大抵のものではない。こちらとしては、基本的にまる一日、写場に籠もっての仕事なので、これが身体にこたえる。
僕は彼にどうしても聞きたいことがあった。
「この前、皆既月食がありましたよね。写真は撮りましたか?」
「いいえ、ただボーッと見ていただけでした」
ええええぇぇぇっ!!!
そこはふつう、撮るんじゃねえの?プロのカメラマンだぜ??
「そうか、写真、撮ればよかったですねえ。気づきませんでした」と。
皆既月食なんて、そうめったに起こるものではない。僕だって、スマホを駆使して撮影にチャレンジしたのだ。ここがカメラマンの腕の見せ所じゃねえの?
そんな話をしていたら、ある人が、
「撮りたいものではなかったんじゃないんですか?」
と言った。
「どういうことです?」
「カメラマンだからといって、どんなものでも撮りたいわけじゃなく、おそらく撮りたいものが人それぞれ違うわけです」
「ほう」
「たとえば、その若いカメラマンは、写場に籠もって静物写真を撮るのが好きだけれども、風景写真にはあまり興味ない、という可能性もあるのではないですか」
「なるほど」
「私の知っている別のカメラマンは、写場に籠もって静物写真を撮る仕事ばかりをしていたのですけれど、以前、学生時代にその方が撮影した写真を見せてもらったことがあって」
「ほう」
「それを見たら、ほとんどが風景写真だったんですよ」
「どういうことです?」
「つまりそのカメラマンは、写場に籠もって静物写真を撮ることを主たる生業としていたけれども、本当のところは、風景写真が撮りたくて仕方がなかったのではないかと。ひょっとしたら、その人にとって静物写真を撮ることは苦痛だったのではないか、と、こういう仮説が浮かんだのです」
「なるほど。テレビや映画のカメラマンなどでも同じことがいえるかもしれませんね」
「といいますと?」
「『水曜どうでしょう』の嬉野ディレクターは、あの番組でカメラマンをしていましたけれど、ともすれば、タレントを映さずに風景の方にカメラを向けていましたよね。それを藤村ディレクターにたしなめられたりして。嬉野ディレクターもまた、風景を撮るのが好きだったんじゃないか、と」
「そのたとえはよくわかりません」
いずれにしても、プロのカメラマンだから何でも写真におさめたいのだろうと考えるのは、こちらの偏見なのだということがよくわかった。
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