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突破力

11月2日(水)

10月21日(金)のTBSラジオ「アシタノカレッジ 金曜日」で、次のような内容のメールが紹介されていた。

「日々のニュースを見ては混乱しています。たとえば、世間で政治家や経営者などが突破力といって評価されていることに違和感があります。具体的な手法や工程を示さず、部下に無理難題を押しつけ、過労死もかまわず働かせ、尻拭いさせ、関係各所の準備や負担を無視し、取り残されている人は切り捨て、責任の取り方が謝罪の言葉を発するだけならば、だれでも何でも掲げられる、と思っていますが、それを世間では突破力と評価していると思っています。私の考え方がひねくれているのでしょうか」

うーむ。俺も思いあたるフシがあるぞ。

物事を大きく変えていこう、とか、新しいことにチャレンジしよう、といったとき、突破力を売りにしているリーダーは、自らの意志を力強く表明すれば多くの人に理解してもらい、そのことが実現できると思い込んでいる。しかし実際は、その漠たる方針につじつまを合わさなければならない部下たちが、かなりの、それもあまり生産的ではない努力を強いられる。結果的に、無駄な打合せに参加させられ、絵に描いたような餅のような構想を考えさせられ、それを実現するために、というか実現したように見せるために、なんとか取り繕おうとする。

以前、どこかの自動車会社の社長さんが、みずからCMに出演し、「BEVも本気、燃料電池も本気、PHEVも本気、全部本気です!」と、熱をもった言葉でみずからの突破力の強さを公然とアピールしていたのを思い出す。僕はあのCMが怖くて仕方なかった。全部本気で取り組めるほど、会社には十分な体力があるのだろうか。社長、よく言ってくれた、と、社員たちは諸手を挙げて賛成しているのだろうか。僕にはよくわからない。少なくとも僕だったら、おいおい、それを実現させる身にもなってくれよ、と思ってしまうかもしれない。

突破力を標榜しているリーダーは、意外なところで打たれ弱いということも、僕は知っている。いや、むしろ本人がそのことを自覚しているから、突破力という甲冑を着ているのかもしれない。

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