秘境探検作家に会う
11月12日(土)
先週、僕の住む市にある小さな書店でおこなわれたトークイベントに来店参加したと書いたが、今日もまた、同じ書店でトークイベントがあり、来店参加した。
今日のゲストは、僕が愛読している探検作家である。これは聴きに行かない手はない。
例によって15名程度のお客さん。僕は最前列の、その探検作家のお顔がよく見える席に陣取る。かぶりつき、というやつである。
実際に見る探検作家は、想像よりも華奢な感じがした。秘境探検をするような人だから、もっとマッチョな感じかと思ったら、ぜんぜんそんなことはなかった。
しかも、ガッハッハ系ではなく、そんなに押しの強い人とも思えない。しかし、めげない人なのだろうなという印象ではあった。
お話は終始おもしろくて、というか、あれほどの体験をいくつもしている人の話だから、おもしろくないわけがない。
僕は、探検ものも好きなのだが、その作家には「探検しない三部作」というのもある。「青春三部作」といってよいかもしれない。実はその三部作が、ことによると探検ものよりもおもしろいかも、と思ったことがある。今日のお話ではじめて知ったのだが、若いころは、自分の書く文章を編集者になるべくいじらせないで本を作ってきたが、「探検しない三部作」は、個性的で有能な編集者と議論しながら作り上げていったものだったという。なるほど、それであれだけ読ませる本になったのか。で、それがきっかけになって、編集者の意見を聞きながら作り上げていくようになったのだという。
「でも、トンデモ編集者もいましたよ」
「ほう、どんな?」
「あるとき、こんなことを言われたんですよ。『宮部みゆきって作家いるじゃないですか、あんなふうにおもしろく書けませんかねえ』と。何それ?って思いましたよ」
僕はそれを聞いて思わず爆笑した。いかにもそういう編集者、いそうだなあ。
あっという間の90分だった。
トークイベント終了後、例によってサインをもらいに行く。サインをもらっている時間が、唯一の話しかけられるチャンスである。
「あのう…、実は私も同じ秘境で探検しました」
そう言うと探検作家は笑って、
「そうでしたか。思ったよりよかったでしょう」
「ええ、よかったです」
ファンは、このことを伝えるだけでも精一杯である。
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