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レモンの実

11月1日(火)

仕事が終わらず、夜遅くになってやっと職場を出て車に乗り込む。運転しながらの2時間はもうひと仕事である。

今日は、火曜日か、じゃあradikoのタイムフリーで「大竹まこと ゴールデンラジオ」を聴こう。メインパーソナリティーの大竹まことさん、火曜パートナーの小島慶子さん、火曜レギュラーの武田砂鉄さん、砂山圭太郎アナウンサーの4人のオープニングトークが始まった。

わが家のレモンの木、もう全滅かと思ったら、地べたのところにひとつだけ実がなってねえ、まだ青いんだけれど、うれしくってねえ、と大竹さん。

そこから、1つだけ実がなったレモンの使い道について、あーだこーだと話が弾む。

焼き魚にレモン汁としてかけたらどう?、そんなもったいない使い方がありますか、1個しかないんですよ、もっと大切に使いましょうよ、じゃあ無駄なく使う方がいいね、砂糖漬けなんかどうかしら、砂糖漬けにしたら、皮まで全部食べられるし、砂糖漬けねえ、蜂蜜漬けとかはどうかね、そもそも、レモンって、実が青いうちに収穫してもいいものなのかね、バナナみたいに収穫した後に黄色くなるとか?、さあ、どうなんでしょうねえ。

そのうちリスナーも参加しはじめる。レモンはこれからの時期に黄色くなりますから、収穫はちょっと待った方がいいですよ、レモンの木は、年に4回は肥料を与えなければ実がなりませんよ、1年に4回!?、ずいぶん多くやらないとダメなんだねえ、レモンの皮と青唐辛子を細かく砕いて、ゆず胡椒みたいにしたらどうでしょう、なるほど、レモン胡椒ってわけね。

ひとつの小さなレモンの実をめぐって、じつに他愛のない話が飛び交っている。だれも不愉快にならずこの話題に参加しているというのがよい。楽しそうにどうでもよい話をする、というのが、おそらく日常生活の中で最も尊い時間なのではないか、と思わせる。

人生のある瞬間に、そういえば、あのとき、1つだけ実がなったレモンをどうすればいいか、なんて、みんなで話してたね、そうだね、あのときほどレモンについて考えたことはなかったね、などと思い出すのかもしれない。いや、そういうことほど、覚えているに違いないのだ。

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