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メディアキャラバン

12月7日(水)

今日は一日、都内で「メディアキャラバン」である。

この言葉を初めて聞いたのだが、要は、来年のイベントの宣伝のために、取り上げてくれそうな雑誌の編集部を何軒か訪ねて、イベントの詳細を説明して、記事にしてもらうようお願いすることを指す言葉らしい。たしかに、広告代理店の人に引き連れられる僕は、「東京砂漠」を行き交う商人のようだ。そういう宣伝ってのは苦手で仕方がないのだが、やれと言われたのでやらなければならない。だいたい、説明すると1時間以上かかるようなわかりにくいイベントを、記事にしてくれるとは到底思えない。

そんな絶望感を抱きながら、最初の雑誌編集部にうかがう。

対応しいただいた方は、僕の拙い説明を熱心に聞いてくれた。

話をしているうちに、僕の前の勤務地の話題が出た。「私、その県の大学出身なんです」と、その編集部の方が言う。

僕はビックリして、「え、その県の大学、といいますと?」と聞き返すと、「○○大学です」と答えて、さらにビックリした。

「それ、僕の前の職場ですよ!指導教員はどなただったんですか?」

「○○先生です」

「えええぇぇぇっ!!その方は私の前任者だった方ですよ!!!」

つまりその方は、僕が勤めていた「前の職場」の卒業生で、しかも専門のコースも同じだったのだ!

そこからひとしきり、「前の職場」のネタで盛り上がる。

横で聞いていた広告代理店の方は、ビックリした様子で「世間って、狭いですね…」とつぶやいた。

結局、なんだかんだで、1時間の予定が1時間40分くらい話し込んで、1軒目が終わった。

終わって建物を出たあと、広告代理店の方が、

「まさか初対面なのに共通の話題があるとはねえ。話してみるものですね」

「そうですね。そもそも私は自他ともに認める『引きの強い人間』なんですよ」

「そうだったんですか」

このイベントの準備の過程で、信じられないくらいの「引きの強さ」をいくつも体験した。それだけでも、1冊の本ができると思う。別に作ろうとは思わないけど。

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