蒲殿の活躍
12月30日(金)
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、第21話くらいまで見てそのままになっていたのだが、「今年の大河は今年のうちに」ということで、一昨日、録りだめておいた22話から48話までイッキ見した。もっとも、録画に失敗した回もあったので、途中、何話か抜けているのだが、それでも、ゆうに20話以上をイッキ見したことになる。
昨日は、これも途中で観る時間がなくて撮りだめておいた関西テレビ制作のドラマ「エルピス」の、後半数回分を観た。
そして今日、「エルピス」の最終回と、昨晩NHKで放送されていた「未解決事件」シリーズの「帝銀事件」のドラマを観た。
帝銀事件のドラマ、観る前は、再現ドラマのようなものだから、たいしたことはないだろうと思っていたら、さにあらず、がっつりホンイキで作られていた。そんじょそこらのドラマでは太刀打ちできないくらいの作り込みである。とくに、松本清張役を大沢たかおが演じるというので、想像がつかなかったが、このキャスティングが見事にハマっていた。大沢だけではなく、他のキャストも見事に役にはまっていたのだ。これ、編集長役の要潤と二人でバディもののドラマシリーズとして成立するんじゃないだろうか?いや、『日本の黒い霧』を松本清張扮する大沢たかお主演で大河ドラマになるんじゃなかろうか。
…という妄想を抱きつつ観ていると、帝銀事件の犯人が平沢貞道ではなく、別に真犯人がいるのではないか、と最初に疑った新聞記者役の俳優が、どこかで観たことがある。つい最近何かのドラマで観たぞ。
その新聞記者は、帝銀事件の犯人が平沢貞道であるという矛盾点をついた記事を書いているのだが、どうもあまり歯切れがよくない。その記事を読んだ松本清張は、その記者の慧眼に敬意を表しつつも、その点に不満が残った。そのことが、松本清張を帝銀事件の真相究明に駆り立てていく原動力になる。
実際にその新聞記者に会ってみると、実に気弱そうな新聞記者である。大きな権力を恐れて、事件の核心に踏み込むことができない。そのことを、松本清張に詫びたのであった。
うーむ。どこかで見た俳優さんだ、と思って、思い出した!「エルピス」に出ていた、「大門副総理」の娘婿だ!
大門副総理が数々の事件を政治の力でもみ消してきた事実を知り、秘書である娘婿が良心の呵責に耐えられなくなり、マスコミに告発しようとしたのだが、事前にそのことを察知され、大門副総理の手のものに殺される、という悲劇的な役柄を演じていた。
いや待てよ、この俳優さん、ほかにもドラマに出ていたぞ。
わかった、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、源頼朝の弟・源範頼(蒲殿)を演じていた人だ!
調べてみると、迫田孝也という俳優さんだった。かなり注目されている俳優さんだということもわかった。
この、源範頼という人物も、正義感にあふれ、「いい人」であるにもかかわらず、最後は謀反の疑いをかけられて流罪の憂き目に遭う、悲劇の人物である。
つまり、いずれのドラマでも、「割を食う」人物を演じているのである。「いい人なのに割を食う役の顔」選手権があったとしたら、優勝である。
ところで、「エルピス」と、「帝銀事件」のドラマは、えん罪を扱っているという点で、期せずして共通点がある。
無実の人間をえん罪に仕立て上げた真相を暴こうとすると、大きな権力から圧力がかかる。この点もまた、共通している。
もし、その真相が明るみに出たら、この国は、たいへんなことになる、政治体制は崩壊する、国際的にも信用を失う、この国のためを思ったら、えん罪事件の真相を掘り返すべきではない、などと、権力者の側は、そう説得しようとする。
これに対して大沢たかお演じる松本清張は、
「大義の話にすり替えてはいけない」
と反論する。この言葉が、胸に刺さる。
まるでいまのこの国の政治ではないか。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- KOC雑感2024(2024.10.19)
- ドリーム(2024.10.01)
- わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!(2024.09.22)
- 団地のふたり(2024.09.16)
- きみの色(2024.09.08)
コメント
『鎌倉殿の13人』20話イッキ見は中々凄いですね。でも内容的にはイッキ見向きのような気もします。
何年か振りにドはまりした大河であり、迫田さん然り失礼ながら知らなったけどいい役者さんだなと思う方も何人か見つけられてよかったです。
中でも源実朝役の柿澤勇人さんは、最初「実朝にしては老けすぎでは?」と思いましたが、和歌を詠むシーンで完全に心持ってかれ・・・。なるほどミュージカル畑の方かと納得。三谷さんの役者の当て書き力は流石だなと。
さて、未解決事件シリーズ。帝銀事件は録画しただけでまだ見ていないのですが、NHKの本気をまざまざと見せつけられる大好きなシリーズです。
数年に一度の新作ぺースですが、あのクオリティなら納得。そして未解決事件に関わった人間たちの様々な感情がぐちゃぐちゃに絡まりあったような川井憲次さんのメインテーマ曲がまたいい。
どうでもよい感想と長文失礼しました。
投稿: 江戸川 | 2022年12月31日 (土) 19時09分
個人的には安達盛長役で野添義弘さんが出演されていたのが感慨深かったですね。なにしろ中学生の頃からSETのファンだったもので。
投稿: onigawaragonzou | 2023年1月 1日 (日) 01時33分