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世界一血管が出ない人

1月11日(水)

「ひとり合宿」1日目。

この忙しいときにひとり合宿をする余裕はないのだが、仕方がない。

今週いっぱいは身動きがとれなくなるからと、昨日はできるだけ作業を進めておこうと夜遅くまでたいへんだった。

いちおう、ひとり合宿の部屋でも仕事ができるようにと、仕事関係の資料を持っては来てみたが、やはりやる気にはならない。

注射針を僕の腕に刺すために、消灯時間の前に看護師さんがやって来るのが通例になっている。本当は明日の早朝に注射針を入れればよいのだが、僕の腕は血管が出にくいことがここではすっかり有名になり、担当の夜勤の看護師さんは、針がうまく刺せるか不安だということで、前の晩に注射針を入れておこうというならわしがすっかり定着したのである。

今回も、消灯時間の前に、不安そうな表情で看護師さんがやって来た。もう、完全に身構えている。

「右腕が出やすい」というのもすでにここでは共有されているみたいで、右腕をぎゅうっと縛ったり、アルコールでこすったりするのだが、僕の血管はいっこうに出てこない様子である。

看護師さんはかなり焦ってきた。

「もう一方の腕も見ていいですか?」

「どうぞ」

左腕も、これでもかというくらい腕を縛り付け、モミモミと腕を揉んでなんとか血管を出そうとするのだが、ピクリともいわない。

「やっぱり右腕にします」

「どうぞ」

しかしいくらがんばってもいっこうに血管は出てこない。

「ちょっと刺してみていいですか?」

ダメ元で刺してみるらしい。

「やっぱり抜きます」

おいおい、抜くのかよ。

しばらくして、

「もう一度、刺してみてもいいですか?」

「どうぞ」

もうこうなったら、矢でも鉄砲でも持ってこい、という心境である。

「やっぱりダメでした」

といって針を抜いた。

看護師さんも、ほとんど泣きそうである。俺の血管、そんなに出ないものかね。というか、そう頻繁に、刺したり抜いたりされたら、さすがにこっちも不安になる。

「今日はダメでしたので、明日の朝、もう一度挑戦します」

えええっ!!!20分も格闘したのに、明日に持ち越し???

明日が本番である。明日の朝の時点で注射針が刺さっていないと、たいへんなことになる。

明日はうまくいくのだろうか。

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