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大阪のバーの夜

こんにちは。コバヤシです。

少しご無沙汰してしまいましたが、元気ですか?

本日、訪ねたバーでなかなか面白い体験をしたので、メールさせて頂きます。

昨日、業界団体の会合が有り、大阪の商業の中心地、船場に行ったのですが、会合とその後の懇親会が早く終わったので、大阪に来てからたまに行く、北新地に近いバーに行くことにしました。

お店に入ると、右端に2人連れの少し歳のいった男性客、左端の方に若い方が1人で飲んでいます。
その間に私は座ったのですが、右横の2人連れは結構呑んでいる感じで、楽しそうに盛り上がっています。どうやら2人は会社経営者とそのお客さんの社長のようです。

私も飲み始めて少しすると、2人のうち年輩らしい方のノヅさんという方(御年は確か65歳と言っていました)が、「ハマちゃん(経営者の方で多分50代)な、折角、久し振りにこの店に来たんやからタッちゃん(バーのマスター)にも1杯奢ってやらんと。」、と言い出しました。更に、「ハマちゃんな、他にお客さんも2人おるし、折角だからシャンパンの1本でも開けて一緒に呑んでもらったらええやん、これも何かの縁(えにし)やし。」、と言い出します。ハマちゃんはすかさず、「ちょっと待ってアンタ、アンタお金出してくれんの?というか俺が出すんやろ、いい加減にしてくれや!」、と返します。ノヅさんは、悪びれた様子も無く、「俺は一銭も出さんで、アンタガ金出すんやろ。ここでご馳走しといたら、アンタかっけえ~で。しかも、今だったら店には5人しかおらんし。この後、他のお客さん来たら、もっと高くつくで。」、と返します。ハマちゃんは、「オッサンん死ねや、いい加減にしてくれや、さっきの店でもアンタ、1杯しか飲めんと言っとたのに5杯も飲んだやんけ。しかも、ここのお客さんとは多分もう二度と会わへんで!」と少し怒り気味に答えます。その後、ハマちゃんが私の方を向いて、「このオッサンと昼の11時過ぎから飲んでて、もう6件目ですわ。どう思います?」と言ってくるので、「そんな時間から今まで飲んでるとはお二人ともお元気ですね。」とお茶を濁すと、ノヅさんは全く意に介さず「ハマちゃん、いいからシャンパン1本奢ったれ。」と言い、押し切られたハマチャンは「分かったは、じゃあ1本シャンパン奢るわ。他のお客さんにもお騒がせして迷惑かけたし。」と豪勢にも、たまたまいた我々にもシャンパンをご馳走してくれました。

ノヅさんは「この酒、ホント旨いな。やっぱりシャンパンは良いわ。」と飄々と語ります。ハマちゃんは「オッサン死ねや。高い酒なんだから旨いのは当たり前や!」と突っ込みます。ついには、ノヅさんは、歌でも歌うかと何故か博多祝い唄を歌い出す始末。ハマちゃんは「いい加減にしろや。この店は歌を歌うような店やないやろ。他のお客さんに迷惑やろ!しかも、なんで大阪の人間なのに博多なんやねん。」とすかさず突っ込みを入れますが、ノヅさんは全く意に介せず、「そやなあ。タッちゃんが修行してたXXXXXでは、ワシも流石に歌う勇気なかったわ。あの店は何というか圧が強くて、ワシも静かに飲んどったわ。」ハマちゃんも「XXXXXは大阪1の高級バーやから当たり前やろ!でも、確かにあの店は本当に凄かったなあ。」と、どうやら今は閉店したらしい北新地のバーの思い出話にマスターも入って花が咲きますが、暫くすると、またノヅさんが「じゃあ折角美味しいシャンパンを飲めたから、博多一本締めでもするか。お客さんも一緒に御願いします。ほな行きますか。よ~、(パン、パン)、もひとつ(パン、パン)、(パパンガパン)。ありがとうございました!」と自由奔放に振る舞います。ハマちゃんも思わず一緒に一本締めをした後、「オッサン、何しとるねん。迷惑やろ。しかも何で、また博多一本締めなんやねん。」と突っ込みを入れ、私ともう1人のお客さん、そしてマスターの3人は笑いこけるばかり。

暫くしてグラスのお酒が減ってくると、またノヅさんが「ハマちゃんな、折角だからシャンパンもう1本開けてみんなで飲もうや。」と言い出します。すかさずハマちゃんが「アンタもう帰れや!誰が勘定払うと思ってるんや。あんた払わんか!ここにカード置いてけや!」とたたみかけます。ノヅさんは、全く動じることも無く「俺は1銭も出さんで。ええやん、アンタが出しとけば。」と淡々と返します。するとハマチャンは再び私の方を向いて「このオッサン、資産12億円はもっとるんですわ。それなのに、俺に奢れなんて、どう思います?」と訴えてきます。流石に私も「もう1本奢って貰うのは申し訳ないので。。。」と、ノヅさんの方を見て言うと、ノヅさんは「俺が金出すわけやないんで構いませんわ。シャンパン旨いですやろ。」としゃあしゃあと答えます。ハマちゃんは、ノヅさんの方を見て「オッサン死ねや。アンタ、金出さんくせに何言うとんねん。ええい、分かったわ、もう1本シャンパン開けるわ!」と半ばやけになって言います。マスターは「ありがとうございます。高いシャンパンを2本も開けてくれて助かります。ご馳走になります!」と言うと、ノヅさんは「そうやろ。新地の酒の味も判らん姉ちゃんに高い酒飲ますぐらいなら、ここの酒の味判る人達と飲んだ方がよっぽどマシやわ。」と答え、ハマちゃんはまた「オッサン死ねや!カネ出しとんのはワシやで!」と返します。その後、暫く横の2人はボケと突っ込みを繰り返し、最後にハマちゃんが「お騒がせしてすいませんでしたね。」と我々に話しかけて、2人はお店を出ていきました。

2人が店を出て暫くしてから、バーのマスターが「あの2人は、この店にもう20年以上も通ってくれているんですよ。実はノヅさんは建築関係の会社を経営しているんですが、数年前に仕事に行き詰って鬱になってしまってお酒を辞めていたんです。今日は久しぶりに2人でお店に来てくれたんです。ハマちゃんは、あんなこと言ってましたが、ノヅさんが楽しそうにしてくれていたんで、本当に嬉しかった筈です。」としみじみと語ってくれました。

2人の会話を聞いているだけで漫才を聞いているようで面白かったのですが、そんなことがあって今日2人がここで飲んでいたのだと思うと、表面では判らない大阪人の人情の深さに少しジ~ンときてしまいました。
という訳で、何だかよくわからないまま、美味しいお酒を飲みながら、漫才を楽しみ、更には人情話まで聞くという、大阪のバーの懐の深さを実感した次第です。

それでは、またそのうち。

…とここまでが、高校時代の親友・コバヤシからのメール。

8年ほど前の、ある地方都市でのやきとり屋での出来事を思い出した。

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