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逆転の構図

2月13日(月)

毎日毎日、何をしているかというと、イベントの関連本の校正である。

直しても直しても、さらに間違いが出てくる。

「この写真、違っていますよ」

「ええええぇぇぇっ!!!いままで気づかなかった!イベント会場のほうは校了してしまったので、もう写真が差し替えられない!!」

「仕方ない、上から貼りましょう」

「ちょっとみっともないね」

「いえ、たぶんわかりませんよ」

「関連本のほうは??」

「そちらはまだ校了してませんので、いまからでも差し替えられます」

「間に合ってよかった」

被害が最小限で済んだ。

…と思えば、夕方遅くになって、またトラブル発生。

「関連本のこの頁の写真ですけど」

「この写真ですね?」

「なんか、おかしいんですけど」

「おかしい???だって、先方から提供された写真でしょ?」

「ええ、フィルムスキャンしてもらった写真です」

見てみるが、写真全体がぼんやりと暗くて、中のデザインがよくわからない。なにやら文字も書かれているようだが、その文字もほとんど読めない」

「全体のデザインが、矛盾しているんです」

「矛盾???」

確かに矛盾しているようにみえる。右にあるべきものが左にあったり、いわれてみれば確かにおかしい。

先方からいただいた高解像度の写真データを、急ぎ開いて、パソコン上で拡大する。むかしでいえば、写真を虫眼鏡で見るようなものである。

僕はあることに気づいた。

「これ、裏焼きだね!」

「裏焼きですか???」

「ここにわずかに文字が書いてあるのがわかるでしょう?」

「ええ」

「これが、鏡文字になっているんです」

「…あ、そうですね!」

「あやうく、裏焼きであることに気づかないまま校了を迎えるところだった!」

「さっそく修正します!」

こんなことって、あるんだね。

刑事コロンボの「逆転の構図」を思い出した。

写真を裏焼きしたことが、犯人逮捕の決め手になる。

してみると、裏焼きを見抜いた僕は、刑事コロンボ並みの名探偵ということだ。…いや、実際のドラマでは、裏焼きを見抜いたのは犯人だったから、厳密に言えばコロンボは関係ないのだが、とはいえ、裏焼きのトリックを考えたのはコロンボなのだから、やはり僕はコロンボ並みの名探偵と言っても言い過ぎではない。

僕はこの発見に少なからず興奮したが、名探偵ならもっと早く気づけよ、と言えなくもない。

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