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生前葬

3月7日(火)

いよいよイベントが開幕した。

前日は、報道関係者向けの開幕式で、ひどく疲れてしまった。

開幕初日は、このイベントのきっかけの一つを作ってくれた3人がさっそく見に来てくれた。「きっかけ」というのは、2018年11月まで遡る。このとき、Fさんと偶然再会していなかったら、このイベントはまったく違う趣になっていただろう。

それから僕は、Fさんの縁を頼りに、あらためて交渉にうかがい、僕の夢を実現した。

「あのときの鬼瓦先生のひと言が、まさかこのような形で実現するとはねえ」

と、Fさんを含む3人は感慨深げに言った。

「これは、言ってみれば、僕の生前葬なんですよ」

「生前葬?!」

僕は、「自分のやりたいことをやりきった」「集大成」という意味で、「生前葬」という比喩を使ったのだが、他人が聞くと、縁起でもないことを言わないでくださいよ、という意味にとられるらしい。

僕はこのところ、この「生前葬」という言葉を気に入って、ことあるごとにいろいろな人に「このイベントは僕の生前葬です」と言っていて、そのたびに怪訝な顔をされる。この3人にも、

「そんなことおっしゃらないでくださいよ」

とまじめに受け止められたのである。

この言葉には、僕なりの意味がある。大林宣彦監督が映画「この空の花 長岡花火物語」を完成させたとき、インタビューで「これは僕の生前葬のようなものだ」と答えたのである。その場面は、「この空の花 長岡花火物語」のメイキング映像に残っている。

自分のために、いろいろな俳優さんが集まってくれて、力を合わせて、これだけのインパクトのある集大成的な映画を作ってくれた、という思いからそのような言葉が出たのである。実際、この映画は圧倒的に心を揺さぶられる映画だった。

しかし大林監督は実際には、それから3本の映画を撮って、この世を去ったのである。

だから「生前葬」はあくまでも比喩であり、「すぐに死ぬ」という意味ではないのだ。

しかしひとりだけ、一緒にこのイベントを作り上げたいちばんの仲間が、

「生前葬!言い得て妙ですね」

とわかってくれた。さすがである。

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