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ひとり合宿(短縮版)

412(水)

またまたひとり合宿である。

いつもだと23日なのだが、今回は、あまりに仕事が忙しくて、12日にしてもらった。

本来ならば金曜日までの予定を、1日縮めて木曜日までにしてもらったのは、金曜日がまた、たいへんなのである。

金曜日は朝から職場で会合があり、そのときに参加者にイベントを見ていただく時間をとるので、ぜひ解説をしてほしい、と主催者に依頼された。

「朝10時から2時間、お願いします」

10時から2時間!!!ずいぶんと簡単に頼んできたものだ。

以前も似たような会合で解説をしたことがあるが、そのときは会合が終わった後のタイミングで解説を依頼され、ほとんどの人が帰ってしまった。残ったのは遠くからいらした3人だけで、まあ結果的にそれはよかったのだが、ほかの人は関心ないのかよ!と、かなり心が折れたのだった。

たぶん今回も、同じようなことが起こるのだろう。たいていの人は午後から会合に参加すると踏んでいる。つまり、せっかく朝からスタンバイしていても、空振りの可能性が高いのである。またこの時間、僕に丸投げされるのかと思うと、何ともやるせない。

たとえば、はるばると遠方から旧友が訪ねてくる、といった場合は、こちらも万難を排して時間を合わせてご案内をするのだが、そうではなく、だれが、何人来るともわからないまま、会合の主催者すらその場に来ないようなところで、テンションを上げて解説ができるかというと、そこはそれ、僕も生身の人間なので、興が乗るかどうかなど、その場になってみないとわからないのである。

しかしまあ、イベントを成功させるためにはいかなる手段も辞さない、このイベントと文字通り心中する覚悟でいる身としては、どんな依頼をも受け入れなければならない。そのためにこれまで、嫌いな新聞社の取材にも快く応じてきたのだ。

そして同じ日の午後は、上司から、

「私の身内とその部下が来るので、アテンドをお願いしたい。身内とその部下は、えらく楽しみにしていると言っていた」

と、また別の依頼が、しかも懇願するように言われた。そう言われてしまうと断れない。断ると、上司の顔をつぶすことになる。

「わ、わかりました」

ほかの人にアテンドを代わってもらったらいいじゃないか、と思われるかも知れないが、このイベントの全体をわかりやすく、そして見る人に興味深く説明できる人間は、残念ながら僕をおいてほかにはいないのだ。まことに哀しいことだが、それは紛れもない事実なのである。

で、この2つのアテンドが終わったら、職場を出て、新幹線と在来線を使って3時間以上かかる場所まで移動しなければならない。翌土曜日は、このイベントの関連イベントが、その場所でおこなわれるためである。この関連イベントもまた、僕なしには成立し得ないので、絶対に休めない。。

そしてこのイベントが夕方に終わると、新幹線に乗って帰宅し、翌日曜日は朝からまた職場に行くことになっている。

ということで、とにかく今週の後半は、山場が続くが、それでも平気で生きなければならない。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ」

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