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続・血管が世界一出ない人

4月12日(水)

今回も、やはり血管が出ない

夜に看護師さんが注射針を刺しに来るのだが、もう昼間から緊張している様子である。

暖めたり締め付けたりと、いろいろ試行錯誤するのだが、なかなか血管が見つからない。

その看護師さんは、やたらブツブツとひとり言を言う。それがこちらをよけい不安がらせる。

ようやく血管を見つけたみたいなのだが、本人は自信がないようである。でもやるだけやってみるか、という感じで、右腕に針をさしていた。

「い、痛い」

「あら、どうしましょ。どうしたらいいかなあ…」

とブツブツ言いながら、注射針を押し込んだり出そうとしたりしているようである。それがまた、痛みをよけいに誘う。

結局、ムダ打ちだった。針を抜いて、こんどは左腕である。

さんざん血管を探すが、やはり全然見つからない。

試行錯誤のあげく、

「手の甲でもよろしですか?」

と言ったので、思わず、

「ええええぇぇぇっ!!!」

と、ちょっと食い気味で漫才の突っ込みのような反応をしてしまった。手の甲って、最後の手段なんじゃねえの?しかも刺すときの痛みも大きいだろうし。

「ちょっと、ほかの看護師を連れてきます」

一人ではラチがあかないと思ったらしい。

ドアが開けっぱなしだったのか、会話が聞こえる。血管が見つからないことをほかの看護師に相談しているようだ。

「手の甲でもいいですか、と聞いたら、ええええぇぇぇっ!!!って言われたのよ」

「ええええぇぇぇっ!!!」

いや、えええぇぇぇっ!!!って言いたいのはこっちだよ、と思いつつ、そんなふうに思われているのならば、もう手の甲でも仕方がないと観念した。

二人の看護師さんが入ってくるなり、

「手の甲でもいいですよ」

と言ったら、安堵したような表情をして、左手の甲に注射針を刺した。

思っていたほど痛くはなかった。

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