リアルナースのお仕事
5月31日(水)
入院して点滴を受けることになったのだが、担当の看護師さんが、どうやらこの4月に入った新人さんらしく、とても初々しいのだが、当然ながら、まだいろいろなことに慣れていないようである。もうひとり、あるていど経験を積んでいると思われる看護師さんがサポートに入る。
血圧を測るにも、まだぎこちなさが残る。そのたびに、経験を積んでいると思われる看護師さんがアドバイスをする。
いよいよ点滴をするという段になったとき、僕は少し緊張が走った。少し大げさに言えば、自分にとっては生死を分けるような点滴である。その点滴を、新人看護師さんに委ねてよいものか、少し不安になる。
その新人看護師さんは、点滴の機械の操作もままならない。そのたびに、もうひとりの看護師さんからアドバイスを受け、操作の仕方を学んでいっている。というか、こっちにしてみれば練習ではなく本番なのだが…。
経験豊富の看護師さんが横についてくれていたおかげもあり、点滴は無事に開始された。ところが、その看護師さんは、同室の他の患者を手術室に送り届けなければならない時間となったため、病室を出なければならなくなった。
「何かあったら、他の人に聞いてみて」
という言葉を残して、その看護師さんは病室を出て行ってしまった。
サア困ったのは僕である。新人看護師さんひとりしかいなくて大丈夫だろうか。
「10分ほど経ったらまた来ますね」と、その新人看護師さんも出て行ってしまった。
そうこうしているうちに、点滴の装置から異音が鳴った。どう考えても、何らかの危険を伝えるような音である。
するとその新人看護師さんがとんできて、その異音をなんとか止めようとして悪戦苦闘している。さらに点滴の装置をなにやらゴソゴソとやり出した。僕には、ちからわざで何かをしようとしているように見えた。
「これで大丈夫です。また来ますね」
といって病室を出ると、また異音が激しく鳴り出した。新人看護師さんがとんできて、点滴の装置をまたいじくりながら、異音を止めた。
おいおい大丈夫なのか?と心配になったが、こっちはド素人なので何も言えるはずがない。
何回かそういうことがあった後に、ようやく点滴が終わった。そしてそのタイミングで、もうひとりの看護師さんが帰ってきた。
「はい、これで点滴は終了です」
と、一件落着したが、なかなかスリリングな点滴であった。
新人看護師さんは、こうした経験を積んで、頼もしくなっていくのだろう。僕は自分の職場の新人さんと重ね合わせながら、幸あれと願わずにいられなかった。
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