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他己紹介で悶死寸前

5月13日(土)

午前、保育園の保護者会に出席する。

ここ最近、忙しいのと体調がアレなのとで、保育園の送り迎えなどができず、保護者とのコミュニケーションなんぞ、まったくできていない。そのため、保護者の顔を見ても、それがだれの保護者なのか、ということがほとんどわからない。

開始時間の少し前に行くと、すでに後列の座席は埋まっていて、前列しか空いていない。

僕は座る位置を考えた。

前回の保護者会では、ひとりひとり自己紹介をさせられた。その順番が、席の端っこからあたっていたので、僕は席の一番端を避け、端から3番目くらいの席に陣取った。

その後、僕のまわりに父親がかたまって座った。やはり女子は女子、男子は男子でかたまって座るものである。

結局、20人くらいが出席して、そのうちの6人が父親だった。母親たちは、いわゆるすっかり「ママ友」なので、和気藹々と雑談をしているのだが、父親たちは、初対面の人が多く、お互いに何を話していいかわからない。

唯一、飲み仲間らしい2人組がいて、その二人は親しげに喋っていた。

開始時間となり、担任の保育士さんが明るい声で司会をする。「それでは、これから保護者会をはじめ~ます」

「はじめる前に~」

イヤな予感がした。また一人ひとり自己紹介をさせられるのだろうか。

「今回は、他己紹介をしま~す!」

ええええぇぇぇぇっ!!!自己紹介ではなく、他己紹介???

「いまから隣に座っている人と二人ずつペアになってもらいます。4分間、時間を与えますので、その間に、お互いの紹介をしてもらい、それが終わったら、その人の素敵なところについて、30秒で紹介してください」

僕がこの世でいちばん嫌いな言葉が、「他己紹介」なのだ。自己紹介であれば、多少自虐的なことも言えるし、失敗しても自己責任で終わらせられるが、他己紹介となると、他人を巻き込む上に、その人をヘンなふうに紹介できないので、失敗は許されないのである。

…というかこれ、「前の職場」で受け持った1年生向けの最初の授業で、俺自身も学生に向けてやらせてたなぁ。

あのときの学生は、いまの僕と同様に、「他己紹介」といわれてイヤな気持ちになったに違いない。因果はめぐるというか。僕はそのときの学生に心の中で謝罪をした。他己紹介って、こんなにイヤな気持ちになるものなんだね。

あ~ぁ、憂鬱である。

「ハイ!それでは始めてください」

僕は、横に座っているタケル君のパパと、「はじめまして」とご挨拶した。しかし「はじめまして」の後が続かない。

「休みの日は、どんなふうに過ごしているのですか」

「公園に行ったりとかです」

「そうですよねえ」

手持ち無沙汰のまま、時間が過ぎた。

「ハイ!4分たちました。お相手の方の素敵なところについてお話しください!」

ママ友たちは、もともと顔見知りの間柄だし、それぞれの趣味も知っていたりするので、よどみなく他己紹介している。やれBTSがどうのとか、TWICEがどうだとか、ピラティスが、とか、ヨガが、とか、青山が、表参道が…と、ひとり30秒という持ち時間を軽く超えて喋っている。

僕は「タケル君のパパは、料理と庭いじりが好きだそうで、休みの日には公園に行くそうです。ご自宅に庭があるのが素敵です」のひと言。

タケル君のパパは僕のことを「休みの日には映画館に連れて行って映画を観るそうです。うちの子はとても2時間もじっと座っていられないと思います」のひと言。

「みなさ~ん、よくできましたぁ!」

かくして、地獄のような時間が終わった。

その後、保育士さんから保育園の現状について1時間ほど説明があったのだが、その間、園児の座る小さくて固い椅子に座らされていたので、お尻が痛くてたまらず、この時間もまるで苦行だった。

1時間半ほどで、ようやく保護者会が終わり、僕はだれとも挨拶せずに、一目散に帰宅した。

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