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突然の来客

イベント終了の翌日、5月8日(月)~10日(水)の3日間は、怒濤の撤収作業がおこなわれた。

そしてその翌日の11日(木)からトラック野郎行脚がはじまるわけだが、僕は11日に急遽診察が入ってしまい、他の人に代理で行ってもらうことになった。

で、11日の朝8時、自宅にいると、日ごろお世話になっているある人からメールが来た。件名に「お願いがあります」とある。

お忙しい中、申し訳ありません。お願いがあります。

一昨日、韓国のY先生が日本に来られました。昨日お会いして予定をうかがったところ、10年ぶりに鬼瓦さんの職場を訪ねたいと言われたので、強くお勧めしました。特別なことは必要ありませんが、鬼瓦さんと簡単なご挨拶ができればY先生も喜ぶと思い、ご連絡した次第です。お忙しいところ、面倒をかけて申し訳ありません。午前10時頃には到着すると思います。よろしくお取り計らいください」

丁寧な表現で綴られているが、これは挨拶をしろということだなとすぐに理解した。しかも午前10時に到着するという時間指定まであるではないか。

しかし、どうやったって午前10時に到着するのは無理である。自宅から通勤に2時間以上かかるのである。

それよりも何よりも、僕はこれから病院に行かなければならないのだ。ただでさえこっちはそのことでナイーブになっているのに、いくらお世話になっている人とはいえ、朝からメールで「お客さんが行くのでよろしく」と丸投げされると、ふだんは人の好い僕だって、不快な気分になる。なぜならこっちのコンディションが異様に悪いからだ。

僕は急いで、そのメールをくれた方に、こちらの事情を説明したのだが、その後何の返事もなかった。僕は予定通り病院に行くことにした。

病院の待合室にいると、職場からメールが入った。

先ほど、鬼瓦先生宛に来客の方がいらっしゃいました。先生がご不在でしたので、事務室で対応させていただきました(日本語はお話しできないようでした)お互い英語でのやり取りでしたので明確なことは分かりませんが、ある方から鬼瓦先生をご紹介いただいた、とのこと」

どうやら事務も対応に苦慮しているらしい。そのすがるような文面から、日本語で意思疎通ができず、英語で苦労しながら意思疎通している姿を僕は想像した。僕は急いで「いま病院なので、午後に対応します」と返信した。

するとこんどは、その来客ご本人から韓国語でメッセージが入った。

「こんにちは、前もって連絡せずに来てごめんなさい。昨日お会いした方から、鬼瓦先生に連絡をしておいたからということで、午前にうかがいました。メッセージをいただければと思います」

どうやら、僕が午前中に出勤できないことは知らないらしい。僕は急いで韓国語でメールを書いた。

「いま病院で診察中です。職場には午後2時半~3時の間に到着する予定です」

「チンチャル チャル パドゥシゴ チョンチョンニオセヨ」

出た!お決まりのフレーズ!「チョンチョンニオセヨ!」

こっちが遅れそうで、なるべく急いで行きます、みたいなことを書くと、

「チョンチョンニオセヨ(ゆっくり来てください)」

と必ず返される。韓国の人はおしなべてせっかちな人が多いので、これが本音なのかどうなのか、いつもわかりかねるのである。

結局、診察は思いのほか時間がかかり、3時を過ぎてようやく職場に到着した。

実はこの日はもうひとり来客があり、そちらにも挨拶しなければいけないことになっていた。というか、そちらの方が先約である。僕は到着早々、先約の来客のところに行ってご挨拶した。

ひとしきりお話しをしたら、3時半くらいになった。

韓国からの来客は今どこにいるのだろう?

「いまどこですか?」

とメッセージを送ると、

「携帯電話のバッテリーが切れたので、カフェでコーヒーを飲みながら充電しています」

と返ってきたので、急いで食堂に向かう。

するとそこにY先生がいた。といっても、実はY先生とはほとんどお話ししたことがない。

「おひさしぶりです。お一人で来たのですか?」

「ええ」

こっちの韓国語の実力は劣化しているので、韓国語だけでのコミュニケーションには不安があったが、なんとか小一時間、雑談をするくらいはできた。

どうやらことさら僕に会いたいと言ってきた理由は、僕になにかと便宜を図ってもらいたいということのようだった。

また一つ、面倒なことを引き受けてしまったなぁと頭を抱えてしまったが、他にやれる人がいないのだから仕方がない。

まったく、だれもかれも、こちらの事情を考えずに平気でいろんなことを頼んでくるものだと、僕は嘆息した。

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