最終日は雨だった
5月7日(日)
イベント最終日。朝から雨模様である。
最終日を見届けたい、という気持ちと、明日からの撤収作業に備えて体力を温存しておきたいという気持ちの間で揺れ動いていたが、
「せっかくだから見届けたら?」
と家族に後押しされ、結局行くことにした。
職場に近づくにつれて、どんどん雨脚が強くなっていく。
(こりゃあ、今日はだれも来ないな…)
2時間かけて職場に着くと、雨は激しく降っていた。
お昼前に、イベント会場に顔を出す。
(やっぱり人が少ないなあ)
あきらめて会場を離れると、見たことのある顔が。
「よぉ~!」
僕はビックリした。そこに「前の勤務地」の同い年の友人が立っていたからである。
なぜビックリしたかというと、その2日前、娘を「おもしろ自転車」という遊具で遊ばせていたときに電話がかかってきた。その友人からである。
「…ちょっと行けそうにないんだ。ゴメン」
といきなり言うので、これはイベントのことだとすぐにわかった。彼は、僕が今回のイベントを手がけたことを知って、行かなければと思っているのだがどうにも時間がとれそうにない、と前々から言っていたからである。
「大丈夫だよ。その気持ちだけで十分だから」
「でも、俺らの年齢を考えると、こういう大きなイベントを手がけるの、最後なんだろ?」
「まあ、これで最後だ、という気持ちで準備したことはたしかだね」
「あ~、やっぱそうかあ~、あ、いや~、うーん…本当に最後なの?」
「わからない。でもやり切った感はあるからね」
「いや~、そうかぁ~、うーん、申し訳ない」
と言って電話が切れた。
…2日前にそんなことがあったから、まさか最終日に来るとは思っていなかったのである。
「やっぱり、これが最後だ、という言葉が引っかかってねえ。始発で来たよ」
むかしからそうだが、ほんとうに律儀な人である。いままで会った中で、こんな律儀な人は彼をおいてほかにいない。
10分ていど立ち話をして、
「次の予定があるんで」
と、慌ただしく帰って行った。
そのフットワークの軽さも潔さも、いかにも彼らしい。
夕方まで雨の勢いはおさまらなかったが、それでも午後にはそれなりにお客さんが入っていた。
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