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一期一会公園

5月3日(水)~5日(金)

仕事のことを忘れ、完全休養。とはいえ、行きも帰りも片道5時間の渋滞運転はきつい。

2泊3日の短い滞在だが、5歳の娘を飽きさせないように遊ばせなければならない。

2日目、買い物や昼食のために山を下りた町に「運動公園」という広々とした公園があり、その中に「子どもの遊び場」という区画があるのを見つけた。どんなところかわからないが、とりあえず行ってみようということになった。

広大な運動公園である。しかも自然の豊かなところで、なかなか心地よい。その一角に、小さな「子どもの遊び場」があった。

すべり台、ブランコ、鉄棒、回転ジャングルジムなど、お決まりの遊具が多いのだが、すべり台はジャングルジムやアスレチックとの合わせ技というか、複雑な構造を持っていて、子どもたちを飽きさせない。

娘をひとりで遊ばせていたら、同い年くらいの、ちょっとませた子が、話しかけていた。

「名前は何て言うの?」

娘は内弁慶なところがあり、知らないお友だちに声をかけられると、とたんに口数が少なくなるのだが、名前を答えると、そのお友だちは立て続けに質問を続けた。

「どこから来たの?」

「ひとりなの?」

「…うん」

「わたしはねえ、4人きょうだい」

なるほど、そのお友だちは4人きょうだいだから、物怖じせずにコミュニケーションがとれるのだな。

「4人きょうだいなの?あなたは何歳?」

と僕が聞くと、

「6歳。で、おねえちゃんは8歳と10歳、おとうとは4歳」

と、これまた物怖じせずに答えてくれる。

対するうちの娘は、そこで同じテンションになるわけでもなく、誘われるがままに、そのきょうだいたちの後を追いかけながら、一緒に遊びはじめた。

じっと観察していると、その4きょうだいは活発に動きまわっているのに対して、娘はややどんくさい。たぶん僕に似たのだろう。

それでも、その4きょうだいたちは、リアクションの低いうちの娘に飽きることなく、一緒に遊びを続けている。

「ねえ、友だちになろう」

「うん」

いつしかその子たちと娘は友だちになっていた。

聞いてみると、その子たちもこの公園にはじめて来たという。地元の子どもではなく、こちらと同じで、旅行をしていてたまたまこの公園を見つけたのだろう。

そうこうしているうちに、夕方になり、そろそろ帰る時間になった。

「明日も来る?」と娘が聞くと、

「明日は来ない」とその子たちは答えた。当然、娘も明日は来ない。つまり、一期一会の友だちなのだ。

「子どもの遊び場」を出て、駐車場まで一緒に歩き、それぞれの車に乗り込もうとしたら、このだだっ広い駐車場の中で、車を隣どうしに停めていたことがわかった。

「すごい偶然だね」

みんなが車に乗り込み、お別れの挨拶である。

車の窓を開けて、隣の車に向かって娘が力一杯叫ぶ。

「ばいば~い、また会おうねぇ~。○○ちゃんの名前、忘れないでねぇ~」

向こうの車のお友だちも、「ばいば~い」と力強く叫んで、それぞれの車は反対方向に走った。

「また会えるかなぁ…」

きっとどこかで会えるさ。

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