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ラジオブース

5月24日(水)

先日終わったイベントの記録映像を作っているのだが、今日はナレーションの立ち会いという仕事で、都内のスタジオに出かけた。

雑居ビルの4階に、そのスタジオがあった。中に入ると、まるでラジオブースのような構造である。大きなガラスを隔ててラジオDJが喋るようなスペースと、巨大なミキサーが置いてありディレクションをするスペースと、に分かれている。

フリーアナウンサーのような人がナレーションをするのだが、今回のイベントは、難しい言葉が多用されていたり、情報量が多かったりして、かなり難儀していたようだった。

さっそく録音開始。20分ほどの映像に、ナレーションを付けていく。ガラスを隔てたこっち側では、ディレクター1人とミキサー1人と僕と、あと1人、よくわからない人の4人がいる。よくわからない人、というのは、プロデューサーにあたる人だろうか。

映像に合わせてナレーションを付けていくのだが、ディレクターはスタジオ内に映像を流しながら、タイミングを見計らってガラスの向こうのナレーターにキューを出す。それに合わせてあらかじめ作成している台本をナレーターが読むのである。ナレーションのタイミングは、じつに90カ所にもおよぶ。

ところがこのナレーション原稿は、ふだん使わない言葉がふんだんに盛り込まれているので、読むのが難しい。そこで僕が立ち会い、漢字の読み方からイントネーションに至るまで指導するのである。

イントネーションがまた難しい。ひとつひとつの言葉に、イントネーションを指示していくので、やっていくうちにわけがわからなくなり、ゲシュタルト崩壊みたいな感じになる。

途中、ナレーション原稿を読み間違えたりすると、その部分だけを取り直してその場で編集する。するとあたかも連続して喋っているように聞こえるから不思議である。

アナウンサーなのだからイントネーションを間違うことはないだろうと思われるかもしれないが、ふだん使わない業界用語や専門用語のオンパレードなので、さすがに悪戦苦闘していたようだった。僕も何度も「その言葉のイントネーション、違います」と何度もダメ出しをして、録り直しをしてもらった。こうして納得がいくまで、何度もナレーション原稿を読んでもらう。

ひととおりナレーション録りが終わると、全体を通して、映像のタイミングとナレーションのタイミングが合っているか、ナレーションを聴いて不自然なところがないか、などをチェックする。

映像に比してナレーション原稿が長い場合があり、該当の映像の枠にナレーションが収まらない場合もある。その場合は、映像のほうを微調整する。映像のタイミングを前に持ってくることを「上げる」、後ろに持ってくることを「下げる」というらしい。「ナレーションが溢れたので、ここは映像を1秒上げます」とか「後のナレーションと少しカブるので、2秒下げます」とか、ディレクターがミキサーの人に細かい指示を出す。

気になった箇所の微調整が終わると、いわゆる「完パケ」ができあがる。

ここまでで2時間半近くかかったのだが、自分がラジオのディレクターになったような、得がたい体験だった。

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