メガネじゃねえし!
6月19日(月)
「あまちゃん面白かったね」
夜、帰宅したあとに5歳の娘はひとしきり四方山話をしてくれるのだが、その中の話題の一つが、「あまちゃん」のことだった。
娘はいま、かなりの数のテレビドラマを観ている。再放送の「あまちゃん」、いま放送中の「らんまん」、「どうする家康」「LASTMAN」「PendingTrain」「王様に捧げる薬指」「合理的にあり得ない」、アニメの「青のオーケストラ」「教場0」等々である。
この中で僕がかろうじて追いついて観ているのが「あまちゃん」なのだが、ほかは全然追いついていないし、そもそもそれほど観たいとは思わないドラマもある。
言ってみれば、共通の楽しみが「あまちゃん」を観ることなのである。
「あまちゃんは、面白いでしょう」
「そうだけど…」そういう意味じゃない、ということらしい。
「パパも観たでしょ?『黙れ!このメガネ!』『メガネじゃねえし!メガネとったらメガネじゃねえし!』」
そう言って娘はゲラゲラ笑った。先週観たワンシーンである。
小泉今日子扮する主人公「あきちゃん」(のん)の母親と、オタク風情の男(村杉蝉之助)とのやりとりの場面である。
「自分の娘をこんな人たちの好奇な目にさらしたくない!」
「そんな目で見てねえし!」
「うるさい!黙れメガネ!」
「メガネじゃねえし!(顔からメガネをはずして)メガネとったらメガネじゃねえし!」
とりわけこの最後のセリフを、娘は繰り返し言っては笑っていた。
ひとしきり笑った後、娘は言った。
「でも…『メガネ』って言っちゃ、よくないよね」
僕はその言葉にハッとした。
「よく言った!そのとおり!ちゃんと名前で呼ばないとね!」
「そうだね」
「もし○○ちゃんが、『メガネ』って言われたらどうする?」娘は実際、メガネをかけている。
「イヤだ」
「そうだよね。保育園でお友だちに言われたことある?」
「ない」
でもたしか眼科の先生は、いまは大丈夫でも、この先小学校に上がったりすると、メガネをかけていることが後ろめたく感じることがあるかもしれない、と言っていた。
思い出してみると、僕が小学生の頃、クラスの中でメガネをかけている子が1人いたが、「ほかの子と違う」という理由だけで僕を含めたみんながその子を異端視していた。「やーい、メガネ!」と揶揄していたことがあったかもしれない。あのときのあの子に謝りたい。
いまではそこまではっきりとした差別はないのかもしれないけれど、まったくなくなったわけでもないだろう。
「これからさあ、もし○○ちゃんのことを、名前ではなくて『メガネ』って呼んだら、あまちゃんを思い出して『メガネじゃねえし!メガネとったらメガネじゃねえし!』って言い返すんだよ」
「うん」そう言うと、メガネを外して「メガネじゃねえし!メガネとったらメガネじゃねえし!」と自主練をはじめた。
「それから、○○ちゃんもほかのお友だちに『メガネ』って呼んじゃダメだよ。ちゃんとそのお友だちの名前を呼ぶんだよ」
「うん、わかった」
そんな娘はいま、「夜に口笛を吹くとヘビが出る」という迷信にひどく怯えている。
寝たと思った娘が起きてきて、
「いま、口笛吹いちゃった…。ヘビが出るんでしょ?怖いよ~」娘はほとんど泣きそうである。
「パパが見張っているから大丈夫だよ。もし蛇が出てもサッと捕まえるから」
そう言って蛇を一瞬で捕まえる、と言う動作をしてみせた。
「ほんとうに大丈夫?」
「大丈夫だよ」
娘はしばらくこの呪縛から逃れられないのだろうか。ちょっと脅かしすぎたことを反省した。
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