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長い一日・前編

7月7日(金)

早朝に、高校時代の部活の1年下の後輩のAさんからメッセージが来た。

「突然すいません。鬼瓦先輩の1年上のFさんが闘病の末に一昨日お亡くなりになりました。もし、お親しい方がいれば…と思いご連絡しました。葬儀等の日時も把握しておりますので、もし思い当たる方がいたらお伝えいただければと思います」

トロンボーンのFさん。ほとんど接点はなかったが、僕が高校1年、Fさんが高校2年の時の演奏会で、「追憶のテーマ」の主旋律のソロをFさんが担当し、その音色が実に甘美だったことをいまでも覚えている。もともと楽譜上ではサックスが主旋律のソロを担当することになっていたのだが、それをFさんのトロンボーンのソロに変えたのは、Fさんの実力を誰もが認めていたからだろうと、当時思ったものである。

AさんとFさんは2学年離れているので、高校時代は接点がないはずなのだが、聞いてみると、大学のオーケストラで一緒だったので、そのときにFさんと同期だった先輩から訃報を聞いたとのことだった。

Aさんはこんなことも教えてくれた。

「先週の土曜日、有志が大学の部室に集まって、Fさんリクエストのマーラー5番の演奏をオンラインで届けました。その時点で意識混濁の状況ではありましたが、演奏後、グーサインされていたそうです」

知り合いのお通夜に参列するという日に、別の人の訃報を聞くというのは、なんとも辛い。

後輩のAさんと少しやりとりをした後、ほどなくして午前のオンライン会議が始まった。

今日は午前と午後にひとつずつ会議があり、さらにその後にはオンラインの説明会というものがある。午前の会議はオンライン、午後の会議は対面なので、在宅から参加するわけにはいかず、朝に出勤して、3つの仕事を済ませた後に、都内の斎場での通夜に参列しなければならない。

問題は3つめのオンライン説明会である。この説明会を職場の仕事部屋から参加していると、午後6時からの通夜に大幅に遅れることになる。

最初は、オンライン説明会を欠席しようとも考えたのだが、あることを思いついた。

1日に1本だけ、職場から都内に直行するバスが運行されている。バスの出発時間は、オンライン説明会が始まる10分前である。午後の会議が終わった後、そのバスに乗り、バスの中でオンライン説明会をスマホで聴けば問題ないんじゃなかろうか。オンライン説明会の時間は1時間程度。そのバスには1時間半ほど乗ることになり、通常は乗客が少ないので、イヤホンを使えばまわりに気兼ねすることなく、バスに乗っている間中、オンライン説明会をスマホでまるまる聴くことができる。

ということで、本日の3つの仕事をクリアして、都内への直行バスでお通夜の会場に向かった。

バスを降り、電車を乗り継いで、葬祭場に着いたのは、午後6時を20分ほど過ぎた頃だった。(つづく)

 

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