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勝手にブラタモリ

9月10日(日)

この地で講演をするにあたり、前日の夜にささやかな歓迎会が行われ、そこに、四半世紀近く前の教え子のMさんと久しぶりに再会したという話は前回書いたが、ちょうどその歓迎会が行われている時間、NHKでは「ブラタモリ」が放送されていて、この日の回で取りあげられた町が、なんとMさんが大学を卒業してからいまに至る20年間にわたり勤めている町だった。つまりMさんにとって地元である。正確に言うと、Mさんの故郷は別のところなので、20年間住み続けている町、といった方が正しい。

「そうだったね。前回の予告編を見て、今日のブラタモリはMさんの住んでいる町を取りあげることはわかっていたけれど、録画予約するのを忘れてきてしまった」

「先生、私もです」なんと地元のMさんも録画予約を忘れたというのだ。仕事が忙しくてそれどころではなかったのだろう。

さて本日。

朝、「新幹線の終着駅」近くのホテルをチェックアウトして、在来線に乗って講演会場に向かう。

前日の歓迎会のときに、講演会を企画したSさんから、

「明日は○○駅からタクシーに乗って会場に来てください」

とだけ言われた。つまり「自力で来い」という。ま、その方がこちらとしても気楽でよいのだ。

言われた通り、在来線に乗り、○○駅で降り、タクシー乗り場からタクシーで会場に向かう。

この会場が、駅から思いのほか遠いことを実感した。歩いて行くなんぞとてもムリである。ましてやこの暑さである。

(うーむ。帰りもまたタクシーなのかなあ…)

と思い、ハタと気がついた。そういえばMさんが講演を聴きに来ると言っていた。帰りはMさんの車で「新幹線の停まる駅」まで送ってもらうことにしよう。6年前の講演会のときにも、帰りは「鉄道では移動が不便な町」から「新幹線の停まる駅」までかなりの距離を車で送ってもらったことを思い出した。

Mさんが講演会場に訪れるやいなや、僕は手招きをしてMさんを呼んだ。

「今日、車で来てる?」

「ええ、帰りのことですね。いいですよ。「新幹線の停まる駅」までお送りしますよ」

なんと、ツーといえばカーである。持つべきものは教え子である。

講演会が無事に終わり、Mさんの車で「新幹線の停まる駅」まで向かう。その道中、

「先生、まだ時間ありますか?」

「切符とってないからね。時間は大丈夫ですよ」

「ちょっと寄り道して、ぜひ先生にお目にかけたいところがあるんです」

車は、Mさんの住んでいる町にさしかかった。その町のはずれにある名所旧跡に案内された。そこにあったのは古木だった。

「これは、車でないと来られないところだね」

「ええ、もう少しすると、ここにバイパスが通ることになり、圃場整備も行われて、風景が一変してしまいます。いま、道路を作っていますが、そのせいで地下水の流れが変わってしまったのか、この古木が少し枯れ始めているのです」

「それは大変だね」

その古木は「天然記念物」に指定されているのだが、たしかに葉の付き方などを見ると元気がない。

「なんとかしなければと、この地区の人たちが言っているのですけれど、なにしろ高齢化が激しくて…」

なかなか樹木の再生にとりかかるための人手が足りないということなのだろう。

「もう1カ所、お目にかけたいところがあります」

そう言って少しだけ車で移動したところに、先ほど見た古木と関係のある、古くて小さな神社があった。

その古木とこの神社の不思議な縁と歴史の話に、僕はすっかり魅了された。

…よく考えるといま僕らがやっていることは「ブラタモリ」ではないか!僕がタモリさんだとすると、Mさんは地元に詳しい案内役。昨日の「ブラタモリ」が見られなかった分、同じ町でわれわれは勝手に「ブラタモリごっこ」をしていたのだ。

「すみません。お時間を取らせてしまって」

「いえいえ、こういう機会でないと訪れることができないからね。とても興味深かったです」

「では、『新幹線の停まる駅』に向かいます」

車は再び走り出した。

「たぶん、昨日放送された『ブラタモリ』の冒頭は、この駅の場面から始まったと思われます」

なるほど、多分そうだろう。

短い時間だったが、ブラタモリごっこは実に楽しかった。

Mさんは改札口まで見送ってくれた。

「ではまたどこかでお会いしましょう」

また数年後に、どこかでふらりと会うだろう。

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コメント

なんかアレがアレしたってホント?

そうなんだよ。アレがアレしたなんて本当に快挙だよね。

そう、アレがアレするのは初めてのことだからね。

そうだっけ。ずっと前にアレしてたと思うけど。

それにしても最初から飛ばまくるから、最後まで勢いが続くか心配だった。

そうそう。でも最後までやり切ったよね。

でもね、アレは元々アレでアレしているから、アレにアレしても、結局アレみたいなんだよね。

え? どういうこと?

だから、アレがアレにアレしても、笑い屋と一緒にアレしたら、結局アレと同じ感じになってたでしょ? めちゃくちゃ面白かったけど。

なんか、お互い違う話をしていない?

アレレ。

投稿: 🐢🐯📻 | 2023年9月15日 (金) 08時00分

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