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経緯説明

先日、偉い人と偉い人がちょっとしてことで揉めはじめた。

僕からしてみたら、些細な行き違いに過ぎないと思うことだったのだが、一方の偉い人が、腹に据えたのか、事情を知る僕のところに、

「どないなってんねん」

と、経緯を説明しろというメールを送ってきた。

日曜の午前に仕事のメールなんて勘弁してくれよ!と思ったのだが、こういうときは事態を早く収拾しなければ、よけいにこじれることになる。

僕はメールをもらってすぐに、経緯を説明するメールを書き始めた。

こういうときは、足下をすくわれないように時間経過を含めてできるだけ具体的に書くのがよい。

経緯説明の中で、僕を含めた複数の登場人物が実名で登場するのだが、僕の見立てでは、今回の件に関してはだれも悪くない、だから、偉い人の怒りの矛先がだれにも向かないよう、経緯を注意深く書く必要がある。だれに責任を押しつけるわけでもない、という書き方が重要である。

当然僕も、何も悪くないのだが、かといって開き直るわけにも行かないので、あるていど自分の落ち度にも触れておく必要がある。しかし、落ち度を自覚していることを述べるていどで、謝ることはしない。

こぶしを振り上げそうにしている偉い人のプライドを傷つけないように書くのも、当然である。

しかも、全体が嘘くさくならないように、自然な文章を心がける。

こうしたことを考慮しながらメールを書き始めると、けっこう長い文章になってしまった。

しかし、全方位に配慮した、われながら奇跡の文章である(と自画自賛)。

そして翌日の月曜日、ふたりの偉い人は、和解した。

やれやれである。

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